遼最悪、捜索１分でギブアップ早すぎるロスト申告

◆男子プロゴルフツアー　マンシングウェアＫＳＢカップ第１日（２２日、岡山・東児が丘マリンヒルズＧＣ、パー７２）　昨年大会で衝撃の優勝を飾った石川遼（１６）＝パナソニック＝が、早とちりが原因でスコアを乱した。出だしの１番で第１打を早々にＯＢと判断したが、第４打の直後にボールがセーフの状態で発見された。このホールを含め３ダブルボギーをたたくなど得意のドライバーが大荒れで６オーバー７８。首位に１３打も離される１３０位と大きく出遅れ、３週連続予選落ちが必至の状況に追い込まれた。

　スタート前の１番ティーグラウンド。「ディフェンディング・チャンピオン」と紹介された石川は、ギャラリーの拍手と歓声に笑顔で応えた。そのさわやかな表情は、直後に凍り付いた。

　「出だしのティーショットがすべて。想定外だった。あのスイングミスを修正することができなかった」

　４０２ヤードのパー４。ドライバーで放った第１打が大きく右へ消えた。ＯＢの恐れがあるため再度ティーグラウンドから暫定球として第３打を打ち、即座に競技委員やフォアキャディー（ボールの行方を確認するスタッフ）ら５人で捜索開始。だが約１分後、「これはもう無いな。暫定球でプレーします」と、早々に暫定球が飛んだ左のセミラフから第４打を放った。ところがその直後、フォアキャディーが捜索現場から約１５ヤード前方で第１打のナイキ製ボールを発見。既に第４打を終えていたため取り返しはつかず、結局ダブルボギーをたたいた。

　過去のケースでは、引き連れた大勢のギャラリーによって発見されることが多かった。しかし今回の落下地点付近はガケがあり、観客は進入禁止。フェアウエーを挟み反対側の観客から「ボールが見えるぞ！」の声も飛んだが、石川の耳には届かない不運もあった。

　とはいえ、納得のいかないショットに固執しなかったのか、あっさり引き下がったことはあまりにもったいない。規則ではボールを探す時間は５分間まで許されている。第１打落下地点はラフだが、残り約９０ヤードとまずまずの位置で、十分にパーオンを狙えた。加えて、１５歳８か月３日の史上最年少でデビュー戦優勝を果たしたアマ時代の昨年とは違い、賞金を稼ぐプロとして凱旋した試合。周囲の期待を集める中、２週連続予選落ちを喫しているだけに、一打への執着心、スコアという結果へのこだわりを見せても、決して誰も否定はしなかったはずだ。

このつまずきが尾を引き、４番では本当のＯＢをたたいた。１５、１８番をバーディーとしたが、今季最悪の７８で首位と１３打差。ボールが発見されたことを知らずに会場を離れた石川は「明日は今日とは別人の様なプレーをしたい」。ハニカミ王子生誕の地で、このまま終わらせるわけにはいかない。

　◆石川のトラブルめも
  ▽Ｇ―ＯＮＥトーナメント最終日（３月３０日）　第１打を左の林へ曲げた１４番で、素振り中に後方の木の枝を折り「スイング区域の改善」の規則違反。２打罰を受けた。
  ▽中日クラウンズ第１日（５月１日）　１５番での木の下からの第３打が、再び「スイング区域の改善」にあたる可能性が浮上。木からの落下物が自然物の「ルースインペディメント」と判断されて結果的に罰は受けなかったが、試合後に大会競技委員長が説明の会見を開く騒動に発展。
  ▽同大会第２日（同２日）　１８番パー４で５打を叩いた尾崎将司のスコアを勘違いして「４」と記入。尾崎は確認を怠って提出し、過少申告で失格となった。

　◆紛失球（ロストボール）　規則２７―１ｃにより、プレーヤーやキャディーは自分の球を５分間まで探すことができる。石川の捜索は５分未満だったが、暫定球をプレーしたため、規則２７―２ｂによりその時点で最初の球は紛失球扱いとなる。

参照元：スポーツ報知