辰吉タイから世界王者目指す

５年ぶりの復帰戦で勝利したプロボクシング元ＷＢＣ世界バンタム級王者の辰吉丈一郎（３８）が２７日、一夜明けてバンコクから帰国。今後はタイを主戦場に世界王座を狙うことを宣言し「３７歳定年」の日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）ルールを動かす気構えを見せた。ＪＢＣも復帰戦の映像を確認する方向で、重い扉が動き出す。

　「今は興奮状態やね」辰吉は少し腫れた顔をさすりながら２回ＴＫＯ勝利を振り返った。「タイで試合していくけど、なりたいのはタイ王者じゃない。次がノンタイトルでも（徐々に世界）ランカーとやれるように」前例のない海外興行で世界を目指す考えを示した。会場は半分以上が日本人で埋まり、熱狂的な辰吉コールが起きた。興行主のチュワタナジム会長も大喜びで、今後もタイで「辰吉興行」が行われることは必至だ。

　ＪＢＣの「３７歳定年」ルールや健康面を考え、大阪帝拳ジムはかたくなにライセンス再申請をしなかった。出発前は「ルールはルール」と話していた辰吉だが「日本はしきたり。よその国は（年齢に関係なく）やってる。血液は一緒や」と日本ボクシング界改革の思いをぶちまけた。

　その熱意が届いたのか、ＪＢＣ側が今回の復帰戦の映像を確認する意向があることが判明。今後の試合内容次第で、ルールが見直される可能性も出てきた。

　ただ、国内での練習場所の確保など問題は山積み。「僕がなりたいのは世界チャンピオン。次は２か月先くらいに試合をしたい」浪速のジョーが、海の向こうで再び孤独な戦いに挑む。

参照元：スポーツ報知