輪おじさん北京で引退…１９６４年東京からニッポンの応援団長

金帽子と日の丸の扇子でおなじみの「五輪おじさん」こと国際オリンピック応援団長の山田直稔さん（８２）が１４日、８月の北京で、半世紀近い五輪応援人生についにピリオドを打つ決意を明かした。２００４年アテネ大会後、引退宣言を北京まで延長してきた山田さんはこの日、大好きな大相撲夏場所を観戦。日本選手団を中心に応援ひと筋４４年の集大成をかけ、１９６４年の東京大会から１３大会連続となる“出場”を決断した。

　「世界中探したって、こんなバカいねぇよぉ」４月で御年８２歳。昼間からほんのりとお酒の香り漂う団長が、大好きな大相撲の桟敷席で豪快に笑った。五輪の“正装”は羽織はかま姿に、右手に日の丸の扇子。６個のスペアがあるという金帽子がトレードマークだ。４４年間、ニッポンを応援してきた団長が、北京を最後に五輪の応援についに幕を下ろすという。

　「アテネの時も言ったけど、４年後のことなんざ分かんねぇよ。アッテ、ネーもんだぜ。２０１２年ロンドン五輪？　そん時生きてりゃ、楽しいロンドン♪、愉快なロンドン♪ってな」

　ワイヤロープ業、ホテル、不動産業などを経営し、現在は一線から退いた身だ。過去１２大会すべて、開会式から閉会式まで現地に滞在。大会ごとに主催国の小旗を１０００本作り、現地人を味方に付けるために日本の五円玉を「ジャパニーズハッピーコイン」と言って、ばらまいた。費用もバカにならない。１大会で約１０００万円かかり、この４４年間で投じた費用は１億２０００万円以上！　「だからこんなバカいねぇんだよ」と団長。

　日本がボイコットした８０年モスクワには、ソ連と五輪の旗を手に単身乗り込み「平和」を訴え、五輪の応援席から政治と歴史を見てきた。「五輪応援の魅力かい？　言葉も通じない異文化で笑顔で交流できることだな」今年２月には日本の中国大使館に中国の小旗１０００本を贈った。「世界を救うのは笑顔だけ」と、９２年から８月８日を「ワッハの日」にするよう政府に陳情し続け、くしくも今年の８月８日は北京五輪の開幕日となる。

　「０８年８月８日だろ？　ワッハッハと笑って集大成にしたいね」と団長。五輪ニッポンの頼もしい助っ人が、北京で最後の日の丸を振る。

　◆山田　直稔（やまだ・なおとし）１９２６年４月１６日、富山・井波町（現南砺市）生まれ。８２歳。日大工学部建築学科卒業後、ワイヤロープ業界に入り、６０年に「浪速商事」（東京・江東区）を設立。ホテル、不動産業などの社長を経て会長職に。国際オリンピック応援団長の肩書は、８４年ロサンゼルス大会から。大相撲、全国草野球の応援団長も自称し、政財界にも多数の人脈あり。家族は妻と２男、４孫。

参照元：スポーツ報知