綱の意地！白鵬３連覇…九州場所千秋楽

◆大相撲九州場所千秋楽▽優勝決定戦　○白鵬（上手投げ）安馬●（２３日・福岡国際センター）　横綱・白鵬が綱の意地で３場所連続９度目の優勝を達成した。本割で２敗を守った関脇・安馬と優勝決定戦で対戦。１２日目に屈辱の敗戦を喫した相手を必殺の左上手投げで倒しＶ９を果たした。安馬はこの日、大関昇進が確実となり、番付を編成する審判部が武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）に昇進を諮る理事会の開催を要請。これを受けて武蔵川理事長は２６日に理事会を招集し、大関安馬が正式に誕生する。来年初場所は０９年１月１１日に両国国技館で初日を迎える。

　失いかけた綱の誇りを白鵬が取り戻した。安馬の首を右脇で締め上げながら左上手投げ。まさに息の根を止めた土俵のど真ん中。笑顔はない。息を大きく吐き顔をしかめた。「本割で負けた同じ相手に負けられない一心だった」Ｖ９の土俵で宿ったのは綱の責任を果たした安らぎだけだった。

　屈辱だった。１２日目。安馬に下手から投げられ右手を土俵に付いた。尊敬する元横綱・大鵬の納谷幸喜さんからは「なってない」としっ責。実は場所前、朝青龍が休場し一人横綱としての重圧から夜も眠れなかった。紗代子夫人が明かす。「いつも以上に責任を感じていたようです」横綱としての務めを果たせなければ、ファンは離れる。緊張感は沸点を超えていた。

　初日に敗れ不安は増したが、切り替えたのは２人の子どものテレビ電話と納谷さんの一言だった。「眠れない時は一杯飲んで熟睡しろ」優勝３２回の大横綱の助言で救われた。紆（う）余曲折を経た優勝決定戦。強烈な技の応酬を展開した１分２５秒２の熱戦に九州のファンは総立ちで拍手を送った。「今年もいろいろありましたが最後に強い気持ちで臨みました」

　２度目の３場所連続Ｖ。さらにＶ９は不知火型の横綱として明治、大正で活躍した太刀山に並ぶ最多タイ。普段から書物をひもとき双葉山など歴代の大横綱の態度、姿勢を学ぶ白鵬に、吉報が舞い込んだ。１２月２日の熊本・宇土巡業では不知火型の土俵入り起源となる第８代横綱・不知火の墓前で土俵入りを行うことが判明。自らのルーツをたどる最高の土俵入りとなる。「来年も一丸となって頑張ります」朝青龍が戻ろうが何があろうが、白鵬の時代を築き上げる。

　◆３場所以上の連続優勝　大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍と優勝２０回以上を誇る５人の横綱全員が記録。最多は朝青龍で、０４年九州～０５年九州まで７連覇した。

参照元：スポーツ報知