安馬、惜敗も充実「いい勉強」…九州場所千秋楽

◆大相撲九州場所千秋楽▽優勝決定戦　○白鵬（上手投げ）安馬●（１１月２３日・福岡国際センター）　涙はなかった。「精いっぱい相撲を取るだけでした。すべてを出し切った」初優勝を逃した安馬だが、すっきりとした表情を見せた。「大関を狙っていた。１３勝２敗。よかったです」１５日間の激闘を乗り越えて悲願を達成。悔しさよりも、充実感が全身を包んだ。千秋楽は、本割で把瑠都を下し２敗を死守。白鵬との決定戦は大相撲に持ち込んだ。「いい経験をして勉強ができた」賜杯は逃したが、母・ミャグマルスレンさんのキスが、何よりのご褒美となった。

　朝青龍にかげりが見え、白鵬の対抗馬として期待は高まる。そこで、師匠・伊勢ケ浜親方（元横綱・旭富士）は、増量計画を口にした。「あの体でよくやった。でも横綱を目指さないといけないからもっと体を大きくしないとダメ」現在の安馬の体重は幕内最軽量１２９キロ。「太る分にはいくらでもいい。けいこしながら太れば（持ち味の）スピードも落ちない」と、食事の量を増やすことを示唆。さらに「けいこはもっと厳しくなる」と“鬼”になる。

　昇進への準備も進んでいる。２６日に控える伝達式の口上について師匠は「みんなが分かってくれて本人らしさが出るものがいい」と四字熟語などは使わず、シンプルにすることを決めた。安馬本人は複雑な表情を見せたが、２５日には新しいしこ名を発表。来年１月の初場所に向けては、銀色の締め込みが作られる。

　大関を手にしたが、新しい目標も生まれた。横綱と初優勝―。「もっとファンのみなさんが見に来てくれるいい相撲を取りたい。頑張ります」逃した賜杯は、新大関場所でつかみ取る。

参照元：スポーツ報知