石川遼にプロの洗礼「まだまだ早いと神様に言われた」…全英落選

◆男子ゴルフ　全英オープン　オーストラリア地区予選（５日、シドニー・ザ・レイクスＧＣ、パー７３）　石川遼（１６）＝パナソニック＝は通算４オーバー４１位に終わり、上位４人に与えられるメジャー出場権はつかめなかった。３６ホール・ストロークプレーで争われ、最初のラウンド（Ｒ）は１アンダー７２と健闘したが、後半は５オーバー７８の乱調。プロ転向初戦は１イーグル、６バーディー、６ボギー、３ダブルボギーと出入りの激しいゴルフとなり、“世界”の高い壁とスタミナ不足を肌で感じた。次戦のパールオープン（８～１０日、米ハワイ・パールＣＣ）に向け、６日にシドニーを出発する。

　大きく息を吐き、白いサンバイザー越しに空を見上げた。プレーを終えた石川は、出迎えの拍手に悔しさをかみ殺して笑った。「まだまだお前は早いとゴルフの神様に言われたような気がした」。１月１０日のプロ転向宣言から２６日。夏の南半球で迎えたデビュー戦は、ほろ苦いものとなった。

　第１Ｒ１０番で迎えた記念のプロ第１打。ドライバーショットを左へ曲げ暫定球を打った。ＯＢは免れたが、波乱を感じさせる幕開けだった。

　１４番パー５で２オンに成功し、プロ初バーディー。第１Ｒは２位に２打差で、上位４人が獲得する出場権を射程内にとらえた。だが、バーディーで２アンダーとした直後の第２Ｒの２番パー５で落とし穴が待っていた。第１打を左の茂み、第２打は右バンカーとミスを連発し、痛恨のダブルボギー。その後、巻き返すことはできなかった。

プレー後は太ももとふくらはぎに痛みを訴え「今までで一番疲れた。体力がないですね…」とスタミナ不足を痛感。「自分はパットが得意ではない。ドライバーからチャンスを作っていかないといけない」と話す生命線のドライバーショットも不振を極めた。加えて、年間億単位の用具使用、所属の契約を結んだ。本人は「プロ初戦のプレッシャー？　それはないです」としたが、父・勝美さん（５１）は「相当重いものを背負っている感じがした」と重圧を感じ取っていた。

　初のオーストラリアでは、キャディーの加藤大幸さんと５キロのランニングを欠かさなかった。英語、世界史、数学の参考書を持ってきたが、プロとしてゴルフ漬けの毎日を送った。この日、３６ホールを終えた後も練習場にただ一人陣取った。

　勝美さんは「いかに“世界”が遠いかということが分かったのでは」と話すが、それでも見せ場も作った。第２Ｒ１１番は２オンに成功してイーグル。夢の全英出場はひとまずお預けとなったが「すごく悔しいけど無駄ではない。絶対にこの日を忘れたくない」と歯を食いしばった。屈辱と少しの自信を胸に、新たな一歩を踏み出した。

参照元：スポーツ報知