橋下知事ＶＳ北の湖理事長！大阪府立体育館存続へ直接対決

　日本相撲協会の北の湖理事長（５５）は２８日、大阪府庁に橋下徹知事（３８）を訪ね、大相撲春場所の会場となっている大阪府立体育会館の存続を求める陳情書を手渡した。知事直轄のプロジェクトチーム（ＰＴ）は１１年以降に約１００億円で同会館を売却する試案をまとめている。同知事はこの日、６月５日に最終決断を公表する考えを示したが、売却される場合には大阪以外の土地で春場所を開催する可能性も出てくる。大阪から大相撲の灯が消えるのか？

　わずか３分の“対決”だった。大阪府庁３階応接室。午後４時１５分に橋下知事が姿を見せると、北の湖理事長は「よろしくお願いいたします」と府立体育会館の存続を求める陳情書を手渡した。記念撮影では握手もない。会話もかみ合わない。重苦しいムードのまま直接対決は幕を閉じた。

　相撲協会の理事長が、このような陳情をするのは極めて異例。理事長自らの出馬は、同会館存続を強く希望する協会の総意だ。知事は会談後「６月上旬に最終判断をします」とし、相撲協会の熱意を受け入れた上で６月５日に結論を公表することを明かした。

　正式に同会館の売却が決まれば、協会側は大阪場所の撤退も視野に入れた重大な決断を迫られる可能性が出てくる。ＰＴは同会館の機能を門真市のなみはやドームへ移転する計画だが、一等地の難波にある同会館に比べると交通のアクセスが不便になる上、新たにマス席設営などで約６億円の出費があるとみられており、協会内部では移転に消極的な意見が多い。大阪の相撲の灯は消したくないが、同会館売却という想定外の事態の前には撤退せざるを得ない状況も出てくる。会談後、理事長は大阪場所の存続、撤退に関する質問に「今は先のことは何も考えていません」と慎重な言葉を繰り返した。

　知事は「大阪に大相撲は残ってほしい。なくなるのは困る」と逆に理事長へ要望した。協会は２９日に理事会を開くが「今日のことも報告します」と理事長。大阪の相撲の灯を消さないよう他の理事の意見を聞きながら、６月５日の橋下知事の決断を待つ。

　◆春場所　大阪で３月に開催される地方本場所の俗称で、正式には「三月場所」。過去には名古屋などでも行われていたが、１９５３年の年４場所制となってからは大阪に定着。大阪府立体育会館が会場となった（８６年のみ改装のため大阪市中央体育館で開催）。

参照元：スポーツ報知