尚子、標高３２００メートルで１日７０キロ！地獄の合宿２か月間走り込み

北京五輪の女子マラソン代表最終選考会となる３月９日の名古屋国際女子マラソンに出場するシドニー五輪金メダリスト高橋尚子（３５）＝ファイテン＝が２７日、最終合宿地の中国・昆明から帰国した。約２か月の合宿では標高３２００メートルの超高地にも出向き、最長で１日７０キロという“高く長い”走り込みを敢行。五輪へのラストチャンスは出たとこ勝負の“ノープラン作戦”で優勝を狙う。

　「優勝しないと（代表に）選ばれないのは確実だと思う」昨年末からの合宿中に肩口まで伸びた髪形で成田空港に着いた高橋は、自分を追い込むように、あえて優勝の２文字を口にした。日本人トップを狙うのでもなく、他の選考会で出されたタイムを参考にするのでもない。

　そのための準備はしてきた。昆明に近い麗江の山では起伏の激しい道を標高３２００メートルまで駆け上がった。普段の練習拠点・米ボルダーよりも１０００メートル近く高い。同２０００メートルの昆明でも１日で最長７０キロ。一気に４１キロの走り込みもした。「４０キロ走、３０キロ走は何回やったか分からない」ほど徹底して走った。

　合宿中に選考レースの１つである大阪国際女子（１月２７日）があり、初マラソンの福士加代子（２５）＝ワコール＝が終盤に大失速したことを聞いた。「マラソンは何があるか分からない。怖いんだな」福士は３０キロまでしか走り込まなかった準備不足が響き敗れた。ベテランの高橋は、マラソンの怖さに勝つには練習しかないと知っている。

　レースの作戦は立てないという。「イメージしすぎると柔軟に対応できない」。走り出してから、自分の勝負勘を頼りに組み立てるつもりだ。「夢はあきらめなければかなう。それを伝えるようなレースをしたい」日本の女子マラソン選手で、１大会のブランクをおいて五輪に２回出場した選手はまだいない。練習拠点の千葉で最終調整し、３月７日に名古屋入り。夢に挑戦する。

　◆女子マラソン代表選考状況　３選考会を終え、残すは名古屋だけ。昨夏の大阪世界陸上３位の土佐礼子（三井住友海上）は内定。１１月の東京国際を大会新で優勝したアテネ五輪金メダリスト・野口みずき（シスメックス）も当確。代表切符は実質的に残り１枚となっている。名古屋には高橋のほか、アテネ五輪代表の坂本直子（天満屋）、０５年世界陸上代表の弘山晴美（資生堂）、大阪世界陸上代表の嶋原清子（セカンドウィンドＡＣ）らが出場予定で最激戦レースとなる。

参照元：スポーツ報知