安馬、琴光喜も撃破！上位食いのプロ…大相撲秋場所３日目

　◆大相撲秋場所３日目　○安馬（寄り切り）琴光喜●（１１日・両国国技館）　西小結・安馬（２３）＝安治川＝が新大関の琴光喜（３１）＝佐渡ケ嶽＝を寄り切りで破り快勝。初日の横綱・白鵬（２２）＝宮城野＝への白星に続き、注目の新大関も撃破し、秋の両国に安馬旋風がわき起こった。３日目を終えて横綱、大関陣で早くも全勝は大関・千代大海（３１）＝九重＝ただ一人という荒れ模様の秋場所。安馬が主役の座を奪いさる。

　安馬の体が瞬く間に紅潮した。全身の血が逆流した気迫の立ち合い。連勝発進した琴光喜にかち上げをかますと左上手をつかんだ。一瞬、切られたが食らいついて再び左まわしを取った。思い切った出し投げで新大関の体を一回転させるとトドメは胸を突き出すように寄り切った。

　白鵬に続き今場所の主役・新大関も破った大殊勲に「悪くないですね」と笑顔がこぼれる。琴光喜戦は２連敗中で対戦成績も４勝７敗と分が悪かった。「けっこう負けていますから離れたらヤバイと思っていた。当たってまわしをつかんで思い通りでした」苦手から奪った会心の勝利に興奮で声がうわずった。

　昨年１２月２８日に父ダワーニャムさんが交通事故で亡くなった。失意の時、励ましてくれたのが同じモンゴル出身の横綱・朝青龍だった。感謝と尊敬の思いを抱く横綱は出場停止で土俵にはいない。しかも心の病で母国へ帰ってしまった。朝青龍の復活を願う気持ちは人一倍強いが「そんなことは考えていません。すべては自分の人生ですから、自分のためにやるだけです」。横綱への思いをあえて封印し、土俵に全神経を集中している。

　父が亡くなった時もそうだった。直後の初場所は初日の２日前に来日し悲しみをこらえ１０勝を挙げた。土俵外の思いを決して勝負に持ち込まない強じんな精神力が横綱、大関連破につながった。「ボクも上目指して頑張りたい」今場所は関脇から小結に番付を下げたが、場所前には部屋が新築され気持ちも一新。秋の両国に旋風を起こし関脇復帰、さらにはその上を狙う。

参照元：スポーツ報知