“尚成の野望”「侍魂」鍛えて天下取り！

巨人・高橋尚成投手（３３）が４日、東京・大手町の球団事務所で２度目の契約更改交渉を行った。前回の１１月２７日に１５００万円減の提示を保留したが、今回は１１００万円減と歩み寄りがあり、１億３５００万円でサイン。８勝５敗と不本意に終わった今季の悔しさを晴らすため、今オフはメンタル関係や戦国武将の書物を読みまくり、内面から鍛え直す考えだ。また、背番号と同じ「２１勝」を目標に掲げた左腕が、チームをリーグ３連覇、７年ぶり日本一へと導く。

　リベンジへの強い決意の表れだった。契約更改を終えた高橋尚が、課題克服を口にした。「今年の数字には納得していない。自分が来年に向けて、何をすべきか明確に見えた一年だった」今季は３月２８日のヤクルト戦で開幕投手（神宮）を任されながら、シーズン途中で２軍落ち。規定投球回数にも届かず、８勝５敗、防御率４・１３と満足できない成績に終わった。自分には何が足りなかったのか―。考え抜いた末、たどり着いたのが「脳トレ」だった。

　「もう３０歳を過ぎて、練習して筋力が急激に変わるわけではない。それより心のトレーニングを一生懸命したい。メンタルの本もそうだし、武田信玄や織田信長とか、いろいろ読んでいきたい。きっとプラスになるんじゃないかなと思っている」精神面の強化につながる書物を片っ端から読破して、重圧に負けない強じんなハートを手に入れるつもりだ。

　単なる思いつきではない。原監督は今年一年、ミーティングなどで、直江兼続（なおえ・かねつぐ）や上杉謙信といった戦国武将の生きざまや戦法などを紹介しながら、学ぶべきことが多いことを伝えた。「いろんな勉強になるはず」シーズン中から抱いていた思いを、今オフから実践することにした。

　メンタルを鍛え直す強い覚悟は、高い目標設定にも表れた。「今まで１０勝、１５勝と中途半端に言っていたシーズンほど良くなかったので、岩隈君みたいに背番号２１で２１勝するんだというのと、日本一。その２つだけを頭のど真ん中に置いて、達成できるようやっていきたい」今季、沢村賞を獲得した同じナンバーを背負う楽天のエースの名前を出して、自らを鼓舞した。

　この日、２度目となった契約更改交渉では、約１時間の話し合いの末、前回提示額より４００万円の歩み寄りがあった。「納得してサインしました」４季ぶりの減俸にもすっきりした表情だった。年明けからは内海らと米グアムで自主トレを行うが、今回鍛えるのは肉体だけではない。プロ１０年目の節目となる来季、高橋尚は「読書のオフ」を経て、戦国武将さながらの強い男に生まれ変わる。

参照元：スポーツ報知