頼れる岩瀬が帰ってきた！落合監督「ちゃんとした使い方をすればちゃんと抑える」…中日

◆阪神１―４中日（２７日、甲子園）　「投手・岩瀬」がコールされると、甲子園に拍手と、普段以上のヤジが交錯した。“あの時以来”となった登板は３点リードの９回。「心境？　普段とはちょっと違ったけど、しっかり自分を持って投げた」自身の乱調でメダルを逃した罪の意識は、この夜も消えてはいなかった。だが、竜の守護神は目の前の相手だけに集中していた。

　先頭の林の左翼ファウルゾーンへの飛球を、中村一が落球した。思わず五輪を思い出させるようなミスにも顔色ひとつ変えない。キレの戻った直球に宝刀スライダーを交え、首位の阪神打線を３人で斬った。しかし、今も残る複雑な思いからか、完ぺきなパフォーマンスにも笑顔はなかった。

　北京五輪では４試合の登板で０勝３敗。最後の登板となった２２日の準決勝の韓国戦では痛恨の勝ち越し弾を浴びた。チームに合流した前日（２６日）はベンチ裏で敗戦を見届け、この日から１軍に登録された。復帰初戦でいきなり出番が訪れ、ちょうど１か月ぶりとなる２８セーブ目を手にした。

　この本来の姿を疑わなかったのは落合監督だ。「ちゃんとした使い方をすればちゃんと抑える。勝ちパターンでいく投手はそういう使い方をしないと。長年、屋台骨をしょって立ってるんだから」当然といった口調で、改めて全幅の信頼を寄せていることを強調した。

　「安堵（あんど）というか、やっていかないと。休んでいても切り替えられるものじゃない。試合があるんだから…」岩瀬は敗戦投手のように声を絞り出したが、負ければ借金生活に陥っていたチームに一本の芯を通した。ＪＡＰＡＮでの失敗を取り返すために、今はオレ竜のクローザーとして左腕を振り続けていく覚悟だ。

　◆北京五輪の岩瀬　１次リーグの韓国戦では２―２の８回途中から登板し、９回２死一、二塁から代打の金賢洙に中前適時打を浴びるなど３失点。米国戦では０―０の延長１０回から登板。タイブレークとなった１１回無死一、二塁から、３連打を浴びるなど４点を失った。韓国との準決勝では、２―２の８回に登板し、１死一塁から李承ヨプに決勝２ランを浴びた。計４試合に登板し、０勝３敗０セーブ。防御率は１３・５２。

参照元：スポーツ報知