韓国撃破へハンド“億の手”！ハイテク基地完成

日本スポーツ界の悲願だったナショナル・トレーニングセンター（ＮＴＣ）＝東京・北区西が丘＝が北京五輪開幕２００日前の２１日、正式オープンし、北京五輪出場権をかけたやり直し予選（３０日・国立代々木競技場）で韓国に挑むハンドボールの男子日本代表候補が５日間の最終合宿に突入した。映像解析カメラなど最先端技術が集結した総工費約３７５億円の強化基地を拠点に２０年ぶり五輪出場を目指す。一方でアジア連盟（ＡＨＦ）は、同予選に参加すれば除名とすることを日本協会に通知してきた。

　選手がア然とする驚きの施設だった。ＮＴＣの運用初日、北京切符獲得の大一番まで残り９日に迫った男子ハンド勢が“第１号”として施設を利用した。今月４日に招集された急造チームの指揮を託された酒巻清治監督は「素晴らしい。２４時間徹底的に利用する」と意欲満々。中川主将（大崎電気）も「（手の滑りを抑えるために）松やにを使うので、これまでは会場探しが大変だった。素晴らしい環境」と専用コートに笑顔を見せた。

　ＮＴＣは深夜、早朝も対応し、２４時間３６５日稼働する日本スポーツ界の“要塞（ようさい）”だ。一流ホテル級の宿泊施設（２５０部屋）も併設されたが、一番の特徴は１０競技の専用練習場に設置された映像解析カメラだ。天井、壁などに固定式と移動式の２種類があり、練習しながら、コートサイドの大型ディスプレーで練習内容が確認できる。「テクニカル・ルーム」と呼ばれる映像編集室がコート内にある。

　得点力のある韓国に勝つために戦術分析が迫られる男子ハンドにとっては最強の装置だ。北京五輪情報分析官の舎利弗（とどろき）学氏は「韓国の防御の弱さを突くために日本がどう動けばいいかが分析できる」と説明。酒巻監督も「攻防の切り替えが速いゲームにしたい。カメラを活用したい」とした。

　最新機器と施設を味方につけた男子ハンドだが、エース宮崎大輔（大崎電気）は「大事なのは最後まであきらめない気持ち」と、忘れずにくぎを差した。ソウル大会以来、２０年ぶり五輪キップ獲得を目指す男子代表候補の合宿は２５日まで行われる。

参照元：スポーツ報知