朝青龍勝ち越し「逆転Ｖで完治」…大相撲初場所９日目

◆大相撲初場所９日目　○朝青龍（上手投げ）安馬●（２１日・両国国技館）　３場所ぶりに復帰した横綱・朝青龍（２７）＝高砂＝が関脇・安馬（２３）＝伊勢ケ浜＝を上手投げで破り、勝ち越しを決めた。１１日目には、出場停止中に世話になった精神科医の本田昌毅医師（３７）が観戦予定であることが判明。本田医師は「優勝こそが真の意味で病の完治」と明かしており、心身の完治を逆転Ｖでアピールする。横綱・白鵬（２２）＝宮城野＝は全勝をキープ。朝青龍と平幕の旭天鵬（３３）＝大島＝が１敗で追う。

　力ずくでつかんだ勝ち越しだ。朝青龍は、モンゴルの後輩・安馬にも容赦しなかった。強烈な右のど輪をさばいて右がっぷり四つ。内無双で相手のバランスを崩し、普段はかわいがっている大関候補を豪快な左からの上手投げで投げ捨てた。

　９日目での勝ち越し。第１関門を突破し、傍若無人ぶりも本格化してきた。支度部屋ではカメラマンにガンを飛ばし「チェッ」と舌打ち。「勝ち越してホッとしていますか」との問いには「別に」。ぶぜんとした表情でエリカ様状態となった。８日目に会場の熱気で５人の観客が倒れたことについても「オレが倒したみたいに書くなよ」と、報道陣をけん制した。

　逆転Ｖへの強力な援軍が登場する。「解離性障害」の治療を担当した本田医師が、１１日目と千秋楽を観戦予定であることが分かった。モンゴルにも同行してくれた恩人だ。本田医師も「ぜひ今場所は直接応援したい」と、朝青龍の状態を確認するため、普段は足を運ばない国技館への来場を決意。王理恵さん（３７）との結婚が延期になった際は逆に励まされたそうで「横綱は精神的には完全に戻っている。ですが本当の回復は優勝した時。優勝してほしい」と話した。

　品格が問題視される暴れん坊には、北の湖理事長（元横綱）もエール。９日目恒例の理事長懇談会の中で「品格だけでは務まらない。力量も大切。私も現役時代、憎たらしいと言われ相撲に打ち込んで頑張った」と、後輩横綱を激励した。

　１０日目は若の里戦。０６年夏場所で不覚を取り、休場に追い込まれた相手だ。白鵬が抜群の安定感を見せているだけに負けられない戦いが続く。「これからが大事」賜杯奪回へ、闘志をみなぎらせた。

　◆観客また倒れた　朝青龍フィーバーによる館内の熱気で中日に貧血などで倒れる観客が続出したことを受け、日本相撲協会は９日目から「足元にお気を付け下さい」と注意を呼びかける場内アナウンスを開始した。ところが、この日も急性アルコール中毒で女性客１人が国技館内の相撲診療所に運ばれた。幸い大事には至らなかったが過熱ぶりは相変わらずだった。

参照元：スポーツ報知