白鵬倒した！安馬、大関王手！…九州場所１２日目

◆大相撲九州場所１２日目　○安馬（下手投げ）白鵬●（２０日・福岡国際センター）　関脇・安馬が横綱・白鵬を破り、大関昇進へ大きく前進した。結びの一番で白鵬を下手投げで転がし１０勝目。昇進の目安となる１１勝へあと１勝とした。横綱からの白星に武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）も内容を評価。優勝争いも２敗で白鵬と並び、昇進と初Ｖへ突き進む。３敗で大関・琴光喜、平幕の雅山と嘉風の３人が追う。

　安馬が、最高の形で「大関」をグッと引き寄せた。昇進のカギを握る横綱戦。懐に入り、もろ差しになると素早く右下手投げ。「よしっ」白鵬の右手が土俵につくと、大きくうなずいた。

　大きな意味を持つ１０勝目。「離れて取ろうと思った。中に入った瞬間やばいと思ったけど体が自然に動いた」作戦通りにいかず笑顔はなかったが、白鵬を同じ２敗に引きずり下ろしトップタイ。初優勝も見えてきた。

　昇進目安は３場所合計３３勝以上。安馬は、直近２場所で２２勝を挙げた。今場所の目安・１１勝を挙げても内容次第で見送る可能性も示唆していた武蔵川理事長は「最高の相撲。大きな一番」と横綱撃破を評価。３、４日目に連敗したイメージを完全に吹き飛ばし、１３日目に雅山に勝てば昇進は確定的となる。

１１日目の打ち出し後は、宿舎のある太宰府市近郊の温泉へと向かった。「マッサージもしてもらったんだ。久しぶりに温泉に入ったけど最高に気持ちよかった」激戦と緊張でたまった疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュして大一番に臨んだ。

　思いの詰まった場所で晴れの日を迎える。昇進伝達式が実現すれば、会場は宿舎を置く太宰府天満宮内の文書館になる。０４年からは現在の研修道場に移ったが、それまで部屋の宿舎だった。モンゴルから来日して０１年初場所で初土俵の安馬にとって、０４年春に新十両となるまで、文書館で過ごした３度の九州場所は下積み時代。慣れない日本文化と奮闘し、関取を夢見て歯を食いしばった忘れられない場所だ。

　残り３日。「一日一番一生懸命。何があっても自分の相撲を取り切りたい」大関はほぼ手中に収めた。あとは初の賜杯を胸に抱き、最高のフィナーレを迎える。

参照元：スポーツ報知