日本ハンド女子、五輪へ出直し…３月最終予選に全力投球

◆ハンドボール北京五輪やり直し女子アジア予選　日本２１―３４韓国（２９日・国立代々木競技場）　「中東の笛」といわれる不可解判定が原因で、五輪予選史上初のやり直しとなったハンドボールのアジア予選は、日本と韓国の一騎打ちで開催され、日本の先陣を切った女子代表は２１―３４の大差で敗れた。３２年ぶり２度目の五輪出場は世界最終予選（３月）に持ち越しとなったが、中東の不正審判を初めて排除する歴史的一戦を実現した。

　スポーツの尊厳を勝ち取った歴史的試合だ。日韓が２０年以上も苦しめられてきた中東を排除して実現した再試合。本当の真剣勝負の舞台で、日本女子は１３点差で惨敗した。しかし、ベルト・バウワー監督（５６）は「この状況でプレーできる貴重な経験を積めた」。そう言い切った。

　五輪に６度の出場経験があり、金２個、銀３個の相手に、前回は「中東の笛」で勝った。だが、公平なデンマーク人審判のもと、明らかな実力差を見せつけられた。体の大きさを生かす韓国に、前半ですでに６点差をつけられ、後半は速攻からの得点で突き放された。慣れない大会場で若手もミスを連発。「自分たちのやりたいことができなかったが、これが私たちの実力」とエースの田中は振り返った。

　負けはしたが、やり直しに持ち込めたこと自体が“勝利”だ。ホームでの大会場開催を実現させ、マイナー競技への関心の目を向けさせた。満員にはならなかったが、４２０６人の観衆を集めた。会場には、１９７６年モントリオール五輪に出場した久保徳子さん（５５）＝旧姓・楠山＝ら３人の姿も。当時のアジア予選はイスラエル戦を日本で行ったが、中東情勢の不安から無観客で、場所すら非公表で行われた。アジア正常化への第一歩となった歴史的一戦を見届けた久保さんは「何だか感慨深いです」と語った。

　負けた日本女子は、３月の世界最終予選に回る。格上の欧州勢と同組で生き残るのは厳しいが、女子の奮闘は３０日に試合を行う男子を奮い立たせた。エースの宮崎大輔は「ファンの声を聞いて、熱いものがこみ上がった。感動して涙が出そうになったが、ヒントは確かにもらった」。男子に託した日本協会の市原則之副会長は「技術、体力ではなく、心の勝負。どっちが勝っても２、３点差で勝負はつく」。日本中の注目を浴びて、男子が日本の意地を爆発させる。

　◆世界最終予選　女子は３月２８日から行われる予定（開催地未定）。１２チームが参加し、４チームずつ３組に分かれて各組上位２チーム、計６チームが出場権を獲得する。日本のほかには昨年の世界選手権の３位ドイツ、４位ルーマニア、５位フランス、８位ハンガリー、９位クロアチア、１０位スペインが出場。それに加えて、スウェーデン、ポーランド、キューバ、コートジボワール、ＩＨＦが推薦する１チームが参加。日本はルーマニア、クロアチア、ポーランドとの対戦が決まった。

参照元：スポーツ報知