Ｇ大阪、世界一への通過点！アジア圧倒制覇…ＡＣＬ

◆アジア・チャンピオンズリーグ決勝第２戦　アデレードＵ０―２Ｇ大阪（１２日・ハインドマーシュ・スタジアム）　【アデレード（オーストラリア）１２日】勝った、次は世界一や！　Ｇ大阪が、アジア・チャンピオンズリーグ（ＡＣＬ）初制覇を果たした。０―２の敗戦でも優勝が決まるアデレード戦で２―０の完勝。ＦＷルーカス（２９）が前半に２得点を挙げ勝負を決めた。就任７年目で日本人監督として初の頂点に輝いた西野朗監督（５３）は、１２月のトヨタ・クラブＷ杯でマンチェスターＵ（イングランド）などを倒し、Ｊ初の世界一の座を目指す。

　アデレードの夜空に３度、西野監督が舞った。Ｇ大阪がついにアジアの頂点に立った。ピッチに並んだイレブンの笑顔を見ると、指揮官は力強くこぶしを握ってこたえた。アウェー６戦全勝、日本人監督として史上初のアジア制覇だ。

　「日本の代表として、代え難い結果がとれた」０―２で負けても優勝が決まる最終戦でも「ガンバらしく攻めて勝つぞ」と選手に伝えた。その言葉通り、前半４分と１５分、ＦＷルーカスがゴールを挙げ試合を決めた。それでも後半、ＦＷ山崎、ＦＷ播戸の交代カードを切った。「点を取れないのは気にくわない」１点を守るより、１点でも多く取れ―鋼の意志を貫いた。

　１２年前の９６年、アトランタ五輪代表監督として世界に挑戦しブラジルを１―０で破り「マイアミの奇跡」と世界を驚かせた。しかし、日本サッカー協会からは「すごく消極的なサッカーだったという評価をもらった」。予想外の低評価に発奮した。バルセロナの攻撃サッカーに取りつかれ、遠征時のＤＶＤ観賞は日課になった。相手の戦術研究は攻撃パターンのみ。攻めることに醍醐（だいご）味を感じるようになった。

９８年から監督を務めた柏時代には、ふがいない戦いを見せたハーフタイムで「戦術なんて関係ないんだよ。攻めて勝て！」とどなり散らし、メンバー表をビリビリに破り捨てたこともある。０５年、Ｇ大阪でリーグＶを果たしたが、「攻撃力」だけではアジアはとれなかった。初出場した０６年のＡＣＬは１次リーグ敗退。原因は敵地での１勝２敗。今季は世界各国に構えるパナソニックの関連企業にも、現地の情報収集を要請。食事環境も整備。２０００万円を超えるサポート態勢を確立した。

　１２月のクラブＷ杯はアトランタ五輪以来、１２年ぶりの世界挑戦になる。今度は攻めて勝つ。１４日の初戦を突破すれば、欧州王者・マンチェスターＵと対戦。「マンＵとがっぷり四つでやりたいよ」と言い切った。昨年、浦和はＡＣミランに屈した。狙うはＪ初の世界王座だ。「自分の中で一番大きな目標が達成できた」来季２年契約の２年目を迎える指揮官の戦いはまだ終わらない。大阪からアジア、そして世界へ。「１１・１２」は、Ｇ大阪にとって通過点に過ぎない。

　◆ガンバ大阪　ホームタウンは大阪・吹田市。１９８０年に松下電器産業サッカー部として創部。９０年度に天皇杯全日本選手権を制覇。Ｊリーグには関西から唯一、９３年の創設時から加盟している。２００５年のリーグ初優勝までタイトルと無縁だったが、０７年にはナビスコ杯を制覇。チーム名はイタリア語で「脚」を意味し、日本語の「頑張る」の響きにも通じる。チームカラーは青と黒。

参照元：スポーツ報知