１００超級は棟田！「外国人と戦える唯一の男」

柔道の男子１００キロ超級・棟田康幸（２７）＝警視庁＝が、２４日のドイツ国際を制したことで北京五輪切符に“王手”をかけた。昨年の世界選手権無差別級に続く連続優勝に全柔連首脳陣も高評価を与え、混戦の日本男子最重量級で最有力候補に。大会では男子９０キロ級の泉浩（２５）＝旭化成＝、女子７８キロ超級の薪谷翠（２７）＝ミキハウス＝が優勝、男子１００キロ級鈴木桂治（２７）＝平成管財＝と女子７８キロ級中沢さえ（２４）＝綜合警備保障＝は３位だった。

　棟田が北京へ大きく近づいた。ドイツ国際では準々決勝で１００キロ超級王者のリネール（フランス）を破ると、決勝では無差別級世界３位のタングリエフ（ウズベキスタン）を撃破。強豪を破ったことは、優勝以上に強烈なインパクトを与えた。

　棟田は「自分の組み手にさせてもらえなかった。全然満足なんてできない」といつも通り自分に厳しいが、首脳陣は高評価。全日本男子の斉藤仁監督は「安定している。徹底して研究されている部分もあったが評価していい」国際大会を連続で制した棟田に合格点を与えた。全日本柔道連盟の吉村和郎強化委員長は、同階級のライバル、井上康生（２９）＝綜合警備保障＝がリネールに２連敗したことを引き合いに出し「誰が対外国人で戦えるかが明確になった」と話した。

　棟田が前進した一方で井上は絶望的な状況となり、五輪代表争いは前週のオーストリア国際優勝の石井慧（２１）＝国士大＝との一騎打ちの様相を呈してきた。残る五輪代表選考会の４月の全日本選抜体重別（福岡）と全日本選手権（東京）で一定の結果を出せば五輪が決まる状況だが、「（北京が）近づいたとは思わない」棟田は厳しい姿勢を崩さない。

　アテネ五輪前も世界選手権とドイツ国際で勝ちながら、その後の国内大会で連敗して五輪切符を逃した。苦い経験があるだけに現時点で表情はゆるめない。「次は日本人が相手。余計にしっかりとしなければいけない」自身も納得の勝利で悲願の五輪出場を決める。

　◇１００キロ超級の代表争い　現状では無差別級世界王者の棟田がリードし、昨年末の嘉納杯東京国際で井上に勝って優勝した石井慧（国士大）が続く。２人に井上と、０５年世界選手権無差別級銅メダルの高井洋平（旭化成）を加えた４人で五輪切符を争う。４月の全日本選抜体重別（福岡）、全日本選手権（東京）を戦い、同選手権後の全日本柔道連盟強化委員会で代表選手１人が決まる。

参照元：スポーツ報知