高見盛、優勝するッス！自己最速勝ち越しに興奮ッス！

◆大相撲春場所９日目　○高見盛（寄り切り）皇司●（１７日・大阪府立体育会館）西前頭１１枚目・高見盛（３１）＝東関＝が自己最速の勝ち越しだ。東前頭１６枚目の皇司（３７）＝入間川＝を寄り切って１敗キープ。幕内３９場所目で初めて９日目に勝ち越すと、勢いに乗ってＮＨＫのインタビューで全国に堂々と優勝宣言した。全勝の横綱・朝青龍（２７）＝高砂＝を、横綱・白鵬（２３）＝宮城野＝ら３人とともに１差でピタリとマーク。荒れる春場所にロボコップ旋風が吹き荒れる。

　もはや“春の珍事”ではない。高見盛が強すぎる。自己最速９日目での勝ち越し。胸を張り花道を戻ると、興奮状態でインタビュールームへ。アナウンサーから「優勝を期待してますよ」と声をかけられると、なんと「う～頑張ります。一生懸命ぶつかります」。“優勝宣言”まで飛び出してしまった。

　日大の先輩・皇司との一番。立ち合いで突っ掛けられ顔を押されたが、「冷静になろう」と珍しく自制。仕切り直して立つと、右四つから力強く寄り切った。春分の日と重ならずに平日に行われた春場所９日目では７年ぶりの大入りとなった客席を拍手喝采させた。「こんだけ早く勝ち越して興奮した。自分も信じられない」目を丸くして快進撃を振り返った。

夢がかなう。６月に行われる米ロサンゼルス巡業。独特の気合パフォーマンスとぎこちない動きから“ロボコップ”とあだ名される高見盛は、同作品を生んだ映画の都・ハリウッド訪問を楽しみにしている。「ロボコップの映画は中学時代以来、何度も見ているッス。そりゃ行きたいよ。自分も映画には興味があるッスから」巡業への参加資格は、来場所、幕内にいること。快進撃の裏にはあこがれの地への熱い思いもあったのか。

　この日行われた懇談会で、北の湖理事長（元横綱）は「このまま頑張ってほしい」と高見盛の名を挙げて期待を寄せた。「あしたからも一番一番、気を引き締めて頑張るだけッス」本人は無欲だが周囲の期待は大。今場所から気合パフォーマンスに、土俵をけるしぐさを加えるなど、まだまだ“改良”を続けるロボコップ。予測不能―。まさかの男が“荒れる春場所”の主役に躍り出た。

　◆高見盛おもしろメモ
  ▼太刀が激突　０５年秋場所で初めて横綱・朝青龍の太刀持ちを務めたが、花道の奥で太刀を天井にぶつける。土俵入りでは朝青龍に近づきすぎて怒られた。
  ▼音痴　０５年秋巡業で相撲甚句に初挑戦も、あまりに音程を外して、マイクを奪い取られる。
  ▼懸賞金　近眼のため懸賞金をつかみそこねて落としてしまい、館内から爆笑。
  ▼顔面出血　緊張すると顔をかきむしる癖があるため、たびたび顔から出血。
  ▼対戦相手　「緊張する」との理由で対戦相手は当日、支度部屋に来てから知るのが基本。だが、０７年初場所９日目、前夜に師匠・東関親方（元関脇・高見山）から「あしたは琴欧洲」と聞かされパニック。支度部屋でパンチやキックの練習をするなど奇行を連発した。

参照元：スポーツ報知