琴欧洲、診断前に自ら休場

２勝６敗と不振を極めていた大関・琴欧洲（２５）＝佐渡ケ嶽＝が９日目から休場した。痛めた左腕を病院で左上腕二頭筋挫傷と診断される前に、師匠の佐渡ケ嶽親方（元関脇・琴ノ若）に自ら休場を申し入れる情けなさだった。

　白旗を掲げた琴欧洲に親方も「腕よりも心が痛いんでしょう」と精神面の弱さを嘆いた。これで夏場所（５月１１日初日・両国国技館）のカド番が決定。昨年九州場所から４場所連続でカド番大関が出ることになる。あまりのふがいなさに名横綱・千代の富士だった九重親方は「大関はもう１つ上がある。上を目指してけいこしないとダメだ」と苦言を呈した。

　厳しい指導で２２人の関取を育てた元横綱・琴桜で先代の親方が昨年８月急逝。琴欧洲は先代が亡くなった後の４場所で２場所も途中休場。先代の一番弟子だった元大関・琴風の尾車親方は言う。「先代は常に“自分しかないぞ”と言われていた。いいも悪いもすべて自分。怒られなくてダメになったと思われたらプロじゃない。先代なら明日からしこを踏めと言うはず」佐渡ケ嶽親方は「私も試練」と明かす。名門部屋が岐路に立っている。

　◆俺は休まない　琴光喜は立ち合いでさっと右を差し、最後は内無双で仕留めた。琴欧洲は休場したが「どこも痛いところがないし、大関としての責任もあるから」と出場続行。風呂から上がると、佐渡ケ嶽親方から携帯電話が入った。「とにかく思い切りいけとだけ言った。オレもホッとしたから電話した」と親方。本人は「大関として見苦しい相撲はもう見せられない」と誓った。

参照元：スポーツ報知