闘莉王プロ初ハット！浦和再奪首！…Ｊ１第１７節

◆Ｊ１第１７節　浦和３―２東京Ｖ（１７日・埼玉スタジアム）　浦和は日本代表ＤＦ田中マルクス闘莉王（２７）のプロ初ハットトリックで東京Ｖに逆転勝ちし首位を奪回し前半戦を折り返した。

　ゴール前に闘莉王がそびえ立った。２―２で迎えた後半１３分。左ＣＫから、ファーで相手ＤＦの背後から頭を突き出した。「枠に行ってくれ」そう念じたシュートは競り合ったＤＦの頭で跳ね、コースが変わる。ゴール前でクリアを試みたＤＦは空振り。タイミングを外されたＧＫは尻もちをつく。ボールが意志を持ったようにゴール中央に転がり込んだ。

　前半２３分には左ＣＫからヘディングで決め、同３６分にはＰＫを落ち着いて決めた。トップ下で先発したこの日、プロ入り後初のハットトリックを達成。今季９ゴールで得点ランクは３位タイに浮上した。「２７歳で色々な初体験をしている。ＦＷやったり。人生で初めてのチャレンジしているこの時期だね。良い方向に、うまい方向に転がってくれている」３点目の後にはひざまずいて、いつもより深く、長く神に感謝した。

　浦和の前社長で、日本サッカー協会の犬飼基昭会長（６６）にカツを入れられた。会長就任が決まり、父親のように慕う闘莉王は祝賀会を提案した。だが、返ってきたのは「自分たちのことをしっかりやれよ！」というゲキ。首位陥落、勝ちきれないサッカーが続き、同会長から、本業に集中するように注意を受け、闘争本能がよみがえった。

　４月１３日鹿島戦以来、２度目となるトップ下。春先にブラジルで腸結石で緊急手術を受けた母・マデルリさんが今週、術後初めて来日した。この日観戦に訪れた母へ、ハットトリックでこれ以上ない快気祝いを届けた。

　後半３３分には、右ふくはらぎに「ピリッと来たので」と途中交代。大歓声でピッチを後にした。「また首位に立てた。苦しい戦いが続くけど、勝っていきたい」Ｊ王座奪回とＡＣＬ連覇へ、闘莉王がいれば、必ず成し遂げられる。

参照元：スポーツ報知