野茂引退 さらばトルネード…日本人メジャーのパイオニア プロ１９年目のケジメ

１９９５年に海を渡り、日本人メジャーのパイオニアとして大活躍した野茂英雄投手（３９）が１７日、現役引退を決意した。日米通算２０１勝の右腕は、右ひじの手術から復活した今季、３年ぶりにロイヤルズでメジャー復帰も、わずか３試合で戦力外通告。その後も復帰を目指して調整していたが、「お客さんに見せるパフォーマンスを出せない」と判断。“トルネード”の愛称で日米のファンを魅了したベテランが、１９年間のプロ生活に別れを告げることになった。

　フェニックスとも言われ、何度もマイナー契約からはい上がってきた野茂が、ついにユニホームを脱ぐ決断をした。日本人メジャーのパイオニアは「リタイアすることにした」と明かした。

　右ひじの手術から再起し、今年ロイヤルズで３年ぶりにメジャー昇格。しかし、日米通算３０００イニング以上投げた３９歳に、余力は残っていなかった。３試合、４回１／３を投げて９失点で４月２０日に戦力外通告をされていた。その後、再起を目指したものの、「プロ野球選手としてお客さんに見せるパフォーマンスを出せないと思っているし、同じように思っている（メジャーの）球団も多いと思う。自分はまだまだやりたいが、中途半端にしていても周りに迷惑をかけるだけだと思った」と理由を説明。所属の団野村事務所も「認識しています」と引退を認めた。

　９０年の近鉄入り１年目から最多勝、奪三振王などタイトルを総ナメにし、リーグＭＶＰを受賞。近鉄との契約問題がこじれて渡米した９５年、村上雅則（ジャイアンツ）に次ぐ２人目の日本人メジャーとしてドジャース入り。フォークを武器に１３勝６敗、リーグ最多の２３６三振で新人王受賞。同年のオールスター戦にも先発に抜てきされて２イニング無失点。前年からの選手会のストライキ直後、ファン離れの米球界を救った功労者と言われ、『ノモマニア』という流行語も生まれた。当時のクリントン米大統領は「野茂は日本の最高の輸出品」とまで絶賛した。

　９６年には打球が飛ぶとされる標高１６００メートルのデンバーで行われたロッキーズ戦で、日本人初のノーヒットノーランを達成。０１年にレッドソックス移籍後は史上４人目（当時）の両リーグでのノーヒッターとなった。通算１２３勝はアジア出身投手でＮＯ１。２年連続２ケタ勝利をマークした松坂大輔も、あと９８勝しなければ追いつけない偉大な数字でもある。

　マリナーズ・イチローとカブス・福留は、１５日のオールスターで両リーグのスタメンに名前を連ねた。野茂が海を渡ってからメジャーでプレーした日本人選手は３３人。「ＨＩＤＥＯ　ＮＯＭＯ」の成功が、その後を追いかけた日本人プレーヤーに、どれだけ勇気を与えたか計り知れない。

　◆野茂　英雄（のも・ひでお）１９６８年８月３１日、大阪府生まれ。３９歳。大阪・成城工高から新日鉄堺を経て９０年に近鉄入り。１８勝でＭＶＰ、新人王、沢村賞を獲得した。９５年、ドジャースに入団し、日本人２人目の大リーガーに。１年目でオールスター戦に先発、１３勝６敗で新人王を受賞した。９６年と２００１年にノーヒットノーランを記録。両リーグでの達成は史上４人目の快挙となった。０８年１月にロイヤルズとマイナー契約。中継ぎとして３年ぶりにメジャー昇格したが、３試合で４回１／３を投げ、防御率１８・６９だった。日本で通算７８勝４６敗。大リーグでは７球団に所属し、通算１２３勝１０９敗。１８８センチ、１０４キロ。右投右打。

参照元：スポーツ報知