貴乃花部屋に初の新幕下力士！生え抜き貴輝鳳…大相撲秋場所

◆大相撲秋場所（２２日、両国国技館）　平成の大横綱・貴乃花親方（３５）の貴乃花部屋に初の新幕下力士が誕生する。東三段目４０枚目の貴輝鳳（２０）が西同３２枚目・竹谷（１９）＝八角＝を上手投げで破り６勝１敗とし、九州場所（１１月１１日初日）での新幕下昇進を確実にした。２００４年２月に父親の故・花田満さんの二子山部屋を継承してから４年目で、名門復活への大きな一歩を踏み出した。

　貴乃花部屋に、待ちに待った新幕下が生まれる。５勝１敗で迎えた運命の７番相撲。土俵際に追い込まれた貴輝鳳だが、竹谷を右上手投げ。６勝目を挙げ、夢を引き寄せた。「親方からは５勝した時『気を抜くなよ』と言われていました。その通りに緊張せず自分の相撲を心がけていけました。まだ実感はわきませんけど」花道を戻ってくるとホッとした表情を浮かべた。

　０４年２月に故・二子山親方から部屋を継承して４年目。「年内に幕下を出したい」と話していた貴乃花親方の声も弾む。「すごくうれしい。節目ですから親御さんも少しでも喜んでくれると思います」思いはひとしおだ。貴輝鳳は早速、おかみさんの景子さんに連れられ、幕下から身に着けることが許されるオーバーと博多帯をプレゼントされた。

　平成の大横綱はもがき苦しんだ。最多で１１人の関取を抱えていた二子山部屋時代。だが、現在の所属力士はわずか７人。新しい力は欲しいが、即戦力となる外国人や学生出身力士に安易に頼ることはない。今いる力士は全員が生え抜き。けいこ場でも私生活でも妥協をしない、国技に情熱を持った人材を求めている。

　０５年に起きた“若貴騒動”の影響もあり、入門に二の足を踏む子もいる。多くの非難も浴びたが、黙って弟子育成に打ち込んだ。その中で現れた“期待の星”。「今場所は基本を守ってやっていた」と貴乃花親方。一方で「私は勝負の世界で美しい相撲を教えたい。簡単に上には上がれないけど時間をかけてやっていきたい」。関取が誕生したわけではなく、道のりが厳しいことに変わりはない。それでも少しずつ前へ。貴乃花部屋は、新たな一歩を踏み出した。

　◆貴輝鳳　進（たかきほう・すすむ）本名・城塚新輝（しんき）。１９８７年１月１４日、東京・昭島市生まれ。２０歳。拝島中３年の時、母・ムツ子さん（６０）の勧めで二子山部屋のけいこを見学。相撲経験はなかったが入門を決意。２００２年春、初土俵。０４年名古屋、三段目に昇進。１８０センチ、１４０キロ。得意は右四つ。

参照元：スポーツ報知