琴光喜、大関王手！１敗死守……名古屋場所１２日目

◆大相撲名古屋場所１２日目　○琴光喜（上手出し投げ）千代大海●（１９日・愛知県体育館）　関脇・琴光喜（３１）＝佐渡ケ嶽＝が悲願の大関昇進へ王手をかけた。１１日目に横綱・朝青龍（２６）＝高砂＝に敗れた琴光喜は大関・千代大海（３１）＝九重＝を上手出し投げで破り１１勝をマーク。昇進ノルマとなる１２勝目をかけ１３日目に東前頭６枚目の豊真将（２６）＝錣山＝と対戦。３１歳３か月の史上最年長の大関昇進へ秒読みに入った。朝青龍と白鵬（２２）＝宮城野＝の両横綱は共に１敗を守ったが、豊真将が敗れ２敗がいなくなり、優勝争いは両横綱と琴光喜の３人に絞られた。

　気迫の一撃だった。琴光喜が強烈な右のど輪を千代大海に食らわせた。立ち合いから激しく突っ張った“先輩大関”を一気に土俵際まで吹っ飛ばした。すかさず左上手を取ると最後は怒とうの出し投げ。「今場所一番いい相撲だった」大関昇進へ王手をかける貴重な白星に自然と笑みがこぼれた。

　みなぎる気迫は前日の悔しさの表れだった。朝青龍に敗れ全勝がストップ。対戦成績で２７連敗の屈辱を味わった。「悔しくて眠れなかった」床に就いたのは午前零時過ぎ。あまりの高ぶりに眠りは浅い。蚊にも刺された。ついには「クソッ！」と雄たけびを上げて目が覚めてしまった。

　「時計を見たら２時５７分だった。思わず叫んだよ」夜が明けても気持ちは引きずった。朝のちゃんこも食が進まずほとんど残した。敗戦をひきずりそうになったとき、出番を待つ支度部屋で思い出したのが前夜、名古屋市内のホテルで食事を共にした師匠・佐渡ケ嶽親方（元関脇・琴ノ若）の言葉だった。鉄板焼きを食べながら「何とか１１か１２勝は勝ちます」と弱気発言を漏らすと師匠が一喝した。「全部勝つつもりで行け」。なえる気持ちを奮い立たせてくれた師匠のゲキを何度も頭の中で繰り返したとき、暗雲は消え千代大海との一番に集中した。

　苦境を脱し、たどり着いた１１勝目。放駒審判部長（元大関・魁傑）は「相撲内容は申し分ない」と内容を絶賛。後はノルマの１２勝を挙げれば昇進間違いなしを示唆した。支度部屋から引き揚げるとき大ファンの中日の４番・ウッズと握手。「昨日は２本ホームラン打ってるからね」昇竜パワーを注入し１３日目で一気に昇進を決める。

参照元：スポーツ報知