沢、五輪初ゴールでなでしこ救った！…女子サッカー

◆北京五輪　女子サッカー　１次リーグＧ組　日本２―２ニュージーランド（６日・秦皇島五輪センター体育場）　８日の開会式に先だって、女子サッカー代表が日本選手団の初陣となる１次リーグ初戦をニュージーランドと戦い、ＭＦ沢穂希（２９）＝日テレ＝が後半４１分、執念の同点弾を決め、２―２で引き分けた。なでしこジャパン唯一の３度目の出場となった五輪での初ゴールは、決勝トーナメント進出が絶望になりかけた日本を救った。

　願っていた瞬間が訪れた。１点ビハインドの後半４１分。ＭＦ宮間の右サイドからのＦＫ。高さのある相手に低くて速いボールが来るのはわかっていた。ニアに走り込むと沢はちゅうちょなく右足を振った。「パッと見たら入ってました。得点するときはいつも何も考えないで無心なんで」われに返った数秒後、右手で何度もガッツポーズを繰り返した。起死回生の同点弾。ついに五輪７試合目にしてゴールにたどりついた。背番号１０のポニーテールが大きく揺れた。

　前半３７分に左サイドを崩され、最後は連係ミスで先制点を献上。後半１１分には不可解な判定でＰＫを与え、０―２という最悪の状況に陥った。だが「２点ビハインドになって、選手たちの動きがよくなった。我々にとっては良かったのかもしれません」と佐々木則夫監督（５０）。普段主将を務めるＤＦ池田はベンチスタート。だが、ピッチには沢がいた。百戦錬磨の司令塔が頼みの綱だった。

　出発前の先月。佐々木監督は母校・明大の壮行会に出席した。その際、「私の大事な宝物」と沢のサイン入りの人形を関係者へのプレゼントにした。それだけ指揮官にとっても沢の存在は別格。その期待にエースは応えた。

　ＰＫキッカーは譲った。０―２の後半２７分、ＰＫを得た。誰もがピッチで沢を見つめた。だが、沢はすかさず「あや！」と、ＭＦ宮間を指名した。背番号８は冷静に右足で“大役”を成し遂げ、「沢さんが行けってことだったんで。断れませんよ。最高で最大の先輩ですから」。チームメートからも信頼され、いつも誰もが一目置いてきた。

　この日は１５歳３か月で代表デビューしてから１３９試合目。「有言実行で、友達とかに五輪中に記念すべき７０点目を取るって言ってたんで」と通算７０ゴールに目を輝かせた。ただ一人五輪を３大会経験する２９歳。試合終了間際には右太ももを打撲したが問題ない。格下のニュージーランド相手に計算外の勝ち点１となった。だが、日本には沢がいる。「決勝トーナメントにいくには次、勝ち点３がどうしても必要」。なでしこのエースが次は米国を打ち砕く。

参照元：スポーツ報知