杉山王手！女子ダブルス４大大会全制覇だ！…全豪オープンテニス

◆テニス全豪オープン第１１日（２９日、メルボルンパーク・テニスセンター）　日本女子のエース・杉山愛（３３）＝ワコール＝が、ダブルスの４大大会全制覇に王手をかけた。女子ダブルス準決勝で、第９シードの杉山、ダニエラ・ハンチュコバ（２５）＝スロバキア＝組は、ノーシードのナタリー・ドシー（２９）＝フランス＝、マラ・サンタンジェロ（２７）＝イタリア＝組に６―４、６―３で勝ち、初の決勝進出。決勝では第１０シードのビーナス・ウィリアムズ（２８）、セリーナ・ウィリアムズ（２７）姉妹ペア（米国）と対戦する。

　杉山組が猛暑を“味方”にした。オーストラリア南部を襲った記録的な熱波の影響で、午前中に気温が３８・８度まで上昇。猛暑に関する大会規則により、試合は屋外コートの予定が急きょ屋内コートに変更された。杉山とハンチュコバは、それをうまく生かした。

　作戦が的中した。屋内の利点を頭に入れ、２人は「角度のあるショットやロブでどんどん攻めていこう」と相談。相手はノーシードとはいえ、２人とも４大大会女子ダブルスで優勝経験がある実力者とあり、第１セットはサーブやリターン後に前に出て重圧をかけてきた。しかし、タイミングを計ってロブを交ぜる作戦で対抗した。

　相手がボールを見合う場面もあり、特にサンタンジェロはロブで何度もミスを犯した。５―４の第１０ゲーム、最後はハンチュコバのサービスエースで第１セットを先取した。第２セットも危なげなくものにすると、２人はがっちり握手。ハンチュコバが「いい集中で試合ができた」と言えば、杉山も「やるべきことをやってここまで来られた」と自信を込めた。

　杉山は初の全豪制覇、そして４大大会全制覇の「生涯グランドスラム」に王手。決勝の相手はビーナスとセリーナの“最強姉妹”コンビで、３０日のセンターコート第１試合に組まれた。北京五輪金メダルの強敵だが、約２年ぶりに復活した杉山組も一戦ごとにプレーの成熟度が増している。「全豪のタイトルは一番欲しいと言ってきたので、目の前のチャンスを生かしたい」と杉山。テニス人生の勲章を目指し、最後に大きな壁に立ち向かう。

　◆グランドスラム　杉山が今回優勝すれば、プロ選手の出場も可能になった１９６８年以降の女子ダブルスでは１４人目の快挙となる。これまでマルチナ・ナブラチロワ（米国）、マルチナ・ヒンギス（スイス）、ウィリアムズ姉妹（米国）らが達成。年間を通してすべての４大大会女子ダブルスで優勝した選手はヒンギスら４人。ペアで年間グランドスラムを達成したのは８４年のナブラチロワ・シュライバー組（米国）だけ。

参照元：スポーツ報知