日本新！伊藤華英、中村礼子に勝って初五輪！…競泳

◆北京五輪代表選考会　競泳日本選手権第３日（１７日・東京辰巳国際水泳場）　激戦の女子百メートル背泳ぎ決勝は伊藤華英（２３）＝セントラルスポーツ＝が５９秒８３で２年ぶり３度目の優勝。従来の記録を０秒１３更新する日本新で派遣標準Ｓ（世界３位相当）を突破し、五輪初出場を決めた。昨年世界選手権銅メダルの中村礼子（２５）＝東京ＳＣ＝も２位で２度目の五輪切符を獲得した。

　未完の大器がついに五輪切符を手に入れた。伊藤は５０メートルを２位でターン。「絶対にタッチの差。後半勝負になる」広げると１８４センチもある長い両腕に、ありったけの力を込めてぶん回した。後半は自己最速の３０秒４１。激しい水しぶきを上げ、北京へと突き進んだ。「ＲＡＮＫ１　５９秒８３」電光掲示板の表示を確認すると安どの笑みがこぼれた。「（４年前）痛い思いをしたけど、良い薬になったと今は言える」

　アテネ五輪代表選考会となった０４年日本選手権。百メートル５位、二百メートルも２位とわずか０秒６６差の３位。中村礼らとの「最激戦区対決」に敗れ、確実とみられた出場権を逃した。「気負い過ぎて自分に負けた」とプールサイドで悔し涙にくれてから４年。１６日の準決勝は力んで全体３位。鈴木陽二コーチ（５８）から「死ぬ気があるのか？　ここには戦いに来てるんだろ！！」と檄を飛ばされた。「もう絶対に３番にはならないように。自分の泳ぎを信じた」決勝でリベンジを果たし、うれし涙を流した。

　１７４センチで８頭身とモデル並みの体形に、長いリーチ。今大会に向け、苦手のスタートから１５メートルを改良した。筋トレで体幹部を徹底強化。「嫌いだった」筋トレで瞬発力をつけ、スタートの出遅れを最小限に食い止めた。４年前は５０キロだったベンチプレスが１１０キロまで挙がるように。「１５メートルまでに０秒３は違うね」と同コーチ。後半に余力を残せるようになった。

　今年に入って世界のレベルは急激に上がった。昨季まで３人しかいなかった５９秒台の選手が伊藤を含めて１１人。「まだ練習して最高の泳ぎをしたい」と伊藤。８月の北京で世界大会では初の表彰台を目指す。

　◆伊藤　華英（いとう・はなえ）１９８５年１月１８日、埼玉・大宮市（現さいたま市）生まれ。２３歳。日大卒。セントラルスポーツ所属。０７年世界競泳女子１００メートル、２００メートル背泳ぎ４位。１７４センチ、６２キロ。

　◆中村　礼子（なかむら・れいこ）１９８２年５月１７日、横浜市生まれ。２５歳。日体大卒。東京ＳＣ職員。０４年アテネ五輪女子二百メートル背泳ぎ銅メダル。０７年世界選手権女子百メートル銅。１６６センチ、５３キロ。

参照元：スポーツ報知