小嶋怪勝、Ｇ１連覇４度目Ｖ／寛仁親王牌

＜前橋競輪：寛仁親王牌＞◇Ｇ１◇最終日◇３日◇優勝賞金２６９６万円

　３７歳にしてなお進化を続ける怪物小嶋敬二（石川）が、高松宮記念杯に続く２大会連続Ｖで通算４度目のＧ１制覇を成し遂げた。赤板先行した永井の番手からフルパワーの２角まくり発進で超高速バンクを制した。注目された自力４車結束の北勢、バンクレコード樹立の荒井も不発に終わらせた。史上初の取得賞金３億円の大きな夢へモンスターパワー全開で挑む。

　超高速バンクに躍ったパワーバトルは、小嶋というモンスターが若き猛者たちの台頭をパワーで粉砕する、あっけない結末となった。屈強の自力型４車を並べた北勢の輪界制覇も、準決でバンクレコード（９秒１）を出した荒井のスピードも無力化してしまった。

　Ｇ１初決勝に緊張する永井に「人が思っているより強いからリラックスして」と、かつて自身も押しつぶされた重圧をほぐした。最終２角から踏み出せば、残り半周は独壇場だ。

　高松宮記念杯に続いてのＧ１連続制覇は、０３年に競輪祭、ダービーを制覇した山田裕仁以来でロイヤルを冠する２大会連続Ｖは初だ。

　圧勝したゴール直後に「今は減って９０キロ台前半かな？」という巨体が胴上げされて宙を舞った。公式プロフィルは８９キロだが１００キロ超もざらだ。しかも、それは最新の科学トレーニングを積極的に導入して、全身を筋肉とパワーの権化に改造し続ける結果だ。一例を挙げると好調時、逆に不調時も血液の精密検査のデータをとり続け「ひと言で説明するのは難しいが、どうやったら最高にレベルを上げ、最高の状態を作り上げられるか、終わりのない実験のようなもの」。契約スタッフらを含めた年間の総経費が数千万円に及ぶこともある。

　身銭を惜しまず肉体改造に精進する３７歳はいまだ進化論の途上。年齢の壁には「日大の大先輩・坂本勉さんは４４歳でまだ自力型。あの滝沢（正光）さんも、自分の年では、まだバリバリの自力型」と一笑に付す。

　筋肉のよろいによろいを重ねたモンスターの加速は止まらない。取得賞金額は約９８００万円に到達した今、２年ぶりのＧＰを初制覇すれば、史上初の３億円レーサー誕生も夢ではない。夢を現実に変えてきた怪物。０７年が輪界の歴史に怪物の名を刻むメモリアルイヤーとなる

参照元：nikkansports.com