安馬改め新大関・日馬富士（はるまふじ）「全身全霊」で精進

日本相撲協会は２６日、福岡市内で初場所（２００９年１月１１日初日、両国国技館）の番付編成会議と理事会を開き、モンゴル出身の東関脇・安馬（２４）＝伊勢ケ浜＝の大関昇進を満場一致で決めた。外国出身としては７人目の大関で、しこ名を「日馬富士（はるまふじ）」に改名。福岡・太宰府天満宮で行われた昇進伝達式では「全身全霊」の四字熟語を入れた。幕内最軽量１２９キロの体ながら真っ向勝負を挑む姿勢に、ファンの期待も大きい。“日馬富士フィーバー”が始まりそうだ。

　「日馬富士」と書かれた紙を手した新大関の笑顔が、太陽のように輝いた。「大関は神様みたい存在だったからうれしい」何かと暗い話題の多い角界を照らす存在になってほしい―。大きな期待が込められた、新しこ名だった。

　理事会では満場一致で昇進が決定。午前１０時２０分、使者が到着すると力強く口上を述べた。

　「今後も全身全霊で相撲道に精進します」

　当初、否定的だった四字熟語については「命を懸けて相撲を取っている。それを日本語でどう表現するか、おかみさんに聞いて決めた」と説明。偶然、同じモンゴル出身の横綱・白鵬が大関昇進時に使った四字熟語と同じだった。「お父さんに報告したい」０６年、交通事故で急死した父・ダワーニャムさん（享年５０歳）の話になると、涙を浮かべた。

　新大関の誕生に周囲も熱気を帯びてきた。両国国技館では場所中、大関以上と高見盛の弁当が販売される。ここに「日馬富士」弁当が加わることが決定。初場所にも登場する。また、既存の安馬グッズは、１２月２４日まで販売される予定だ。

１２月２日から始まる冬巡業の勧進元も、うれしい悲鳴を上げた。スタート地の熊本・宇土市では関脇・安馬でパンフレットを作成済み。担当者は「シールを張ったりして対応しないと」と話す一方で「大関として初の土俵入りなのでうれしい」と若干売れ残っている２階席の完売を期待した。

　横綱昇進への願掛けをしていることも判明した。九州場所千秋楽で、これより三役の勝者に与えられる矢を２３日、神奈川・秦野市の出雲大社相模分祠（ぶんし）に奉納した。師匠も８７年秋場所後、大関昇進した際に奉納。その後、横綱に上り詰めた。「まだ上がある」と師匠。大関は通過点。日馬富士の角界の頂上を目指す戦いが始まった。

　【日馬富士の由来】師匠・伊勢ケ浜親方によると、「日」は日輪を意味し、相撲界を照らして大輪の花を咲かせるとの意味が込められた。「馬」は旧名の安馬から、「富士」は師匠の現役時代のしこ名・旭富士から取ったという。

　◆大関　横綱と並ぶ看板力士。月給は横綱の２８２万円に次ぐ２３４万７０００円で、三役（関脇、小結）よりも６５万４０００円アップする。２場所連続で負け越さない限りは陥落せず、関脇に落ちてもその場所で１０勝以上挙げれば復帰する。横綱昇進には２場所連続優勝か、それに準じる成績が必要。各種の行事に協会代表として出席できる。

　◆日馬富士アラカルト

　▽本名　ダワーニャム・ビャンバドルジは土曜日に生まれた元気な子供という意味。

　▽生まれ＆サイズ　１９８４年４月１４日、モンゴル・ゴビアルタイにて５０００グラムで生まれる。２４歳。１８５センチ、１２９キロ。

　▽趣味　絵画。

　▽少年時代　柔道に夢中。

　▽好きな食べ物　肉料理。

　▽父親　ダワーニャムさんはモンゴル相撲の関脇。２００６年１２月２８日に交通事故で他界。

　▽家族　母と兄２人。

　▽あこがれの力士　大関・初代貴ノ花。

参照元：スポーツ報知