古閑、“姉弟子”不動を５差逆転！女子ツアー最大タイ劇勝…リコーカップ最終日

◆女子プロゴルフツアー今季最終戦　報知新聞社後援　ＬＰＧＡツアー選手権リコーカップ最終日（２５日、宮崎・宮崎ＣＣ、パー７２）　５打差２位で出た古閑美保（２５）＝キリンビバレッジ＝が６７で回って通算１３アンダーとし、大逆転Ｖ。日本女子プロゴルフ協会の清元登子（たかこ）副会長（６９）の下でともに練習した“姉弟子”の不動裕理（３１）＝フリー＝を最終組対決で破り、公式戦初勝利を飾った。今季２勝目、ツアー通算７勝目。１９８８年のツアー制後、メジャーで５打差をひっくり返したのは８９年大会の平瀬真由美に並ぶ記録。不動は２打差２位に終わった。賞金女王の上田桃子（２１）＝加賀電子＝は５位に終わり、大山志保（３０）＝オンワード樫山＝が持つ約１億６６２９万円の年間最多獲得賞金に約１８万円届かなかった。

　勝利を決めても、信じられなかった。１８番のグリーン上。古閑は目を潤ませながら「どうしよう」と繰り返した。仲間から祝福の水をかけられ、何度もむせた。元女王・不動を倒しての逆転Ｖ。「やっちゃった。盆と正月と誕生日が一緒にきた感じ」とうれしい悲鳴をあげた。

　出だしは気楽だった。首位は不動。２０００年から約４年、清元副会長の下で練習をともにした姉弟子だ。初めて見たときには「（練習中）休憩はしない。水も飲まない。トイレも行かない。全部が安定してるし、マシンが打っているみたいだった」。恐れすら抱いた。元６年連続賞金女王を相手に、勝てるはずがないと思っていた。

　ところが、２番で３メートルを沈めると、４番まで３連続バーディー。不動は伸びず、２打差まで縮まった。逆転Ｖが見えてきたが、ここで冷静になったという。「イケイケモードになると絶対にポカをする。自分のゴルフを貫こうと思った」

　９番で追いつき、再び引き離されながら、１４番で２メートルを決めてまた、並んだ。１６番で不動がダボをたたき、初めてリード。「呼吸困難になるくらい」の重圧に耐えて結果を出せたのは、元師匠の助言があったからだ。

　４月に清元門下を卒業。「自分１人でやる」と誓いながら、最終日前夜、電話しそうになったという。結局しなかったが、パッティング練習中に清元副会長にそのことを報告すると「電話になんか出ない。コースに出たら１人。１人で行ってきなさい」と突き放された。「コースに出たら自分を信じるしかない。これで自分を信じることができました」

　最終的には誰に頼ることもなく、尊敬する不動を撃破。公式戦初制覇で３年シードと、来年の全英女子オープン行きのチケットもゲットした。米ツアー挑戦も視野に、夢は広がる。「考えることが増えて遊んでいられない。一生懸命、自分で考えて、いろいろ決めたい」今年、ＣＭでもブレークした美人プロが、そのハスキーボイスを弾ませた。

　◆古閑　美保（こが・みほ）１９８２年７月３０日、熊本市生まれ。２５歳。３歳から野球に熱中し、１０歳からゴルフを始める。９６年日本ジュニア優勝、２０００年から清元登子プロ門下に入り、同年の日本女子オープン９位でローアマを獲得。０１年にプロ転向し、０３年ヨネックスレディスでツアー初勝利。ツアー通算７勝。家族は両親と妹。１６７センチ、６０キロ。血液型Ｂ。

　◆女子ツアーでの最終日の最大差逆転Ｖ記録　２００２年の広済堂レディスで最終日に、藤野オリエが６６で回り、１１打差をひっくり返して優勝したのが最大。１９８８年のツアー制後、メジャーでの最大差逆転Ｖ記録は、８９年大会最終日に６９で回って５打差を逆転した平瀬真由美。古閑はそれに並んだ。また、ツアー施行前には８５年の日本女子オープンで森口祐子が７０で回って６打差を逆転した例がある。

参照元：スポーツ報知