反町ジャパン不完全燃焼…雷雨に消されたラスト１０分

◆キリンチャレンジ杯２００８　北京五輪壮行試合　日本０―１アルゼンチン（２９日・国立競技場）　北京五輪日本代表は本番前最後の壮行試合をアルゼンチンと戦ったが、後半３８分２５秒に雷雨のため中断、そのまま打ち切られた。残り１０分を切ってビハインドという五輪本番でも想定される状況で、劣勢をはね返すためのラストの総攻撃がテストできなかった。２４日のオーストラリア戦では反町ジャパン初の逆転勝利を決めたばかりだが、流れをものにできず、消化不良のまま、悔しさを胸に、第１戦の地・天津に乗り込むことになった。

　稲妻と豪雨に、北京ロードの仕上げを邪魔された。反町康治監督（４４）が「最後の相手としては格好の場」と臨んだアルゼンチン戦で、総仕上げの時間だけが悪天候に奪われた。「負ける感じはしなかった。不完全燃焼です」ＧＫ西川は空を覆った雨雲を恨めしそうに眺めるだけだった。

　後半３８分２５秒、まさにラストスパートをかける時だった。ボランチの本田拓は「前から行こうと話をした直後に試合は終わってしまった」と悔しがった。中断。まさに水を差された。その６分３５秒後、シンガポール人の主審は両手を広げ、試合終了を言い渡した。

　前線からボールを追いかけ、こぼれ球を拾って波状攻撃を仕掛けることが出来ずじまいに終わった。残り１０分を切り、０―１で負けていた。１次リーグで米国、ナイジェリア、オランダと対戦する。すべて格上。強い相手から少ない時間で何としても得点を挙げなければならない―。この日の後半３８分２５秒の状況は、本番でも十分想定される。５日前のオーストラリア戦で後半４４分に決勝弾を決めたＦＷ岡崎は、後半３２分から途中出場。反町ジャパンのジョーカーは、決定的な仕事をする前にわずか６分で試合が終わってしまった。

　ＤＦ安田がイレブンの意見を代弁した。「あと７分、ロスタイムを入れると１０分あったと思う。カミナリには少しビビったけど、もう少しやりたかった。残り１０分は何があるか分からないから」後半開始から雨が降り始め、選手はピッチ際でスパイクを雨天仕様のものに替えた。エンジンをかける準備は整っていた。

　後半３２分から途中出場したＤＦ長友らは試合後、壮行セレモニーが終わった後でも人工芝ピッチで練習に励んだ。やり残したフラストレーションを晴らすかのようだった。反町監督は「『まだまだ』と書いていただけるとありがたい。ウチのチームは叩かれて、叩かれて強くなってきた」。押し殺した悔しさを持って、中国へと乗り込む。

参照元：スポーツ報知