イチ番美しかった！「気持ちよかった」レーザービーム…米球宴

◆米大リーグ第７９回オールスター戦　ア・リーグ４ｘ―３ナ・リーグ（１５日、ニューヨーク・ヤンキースタジアム）　「１番・右翼」で出場したマリナーズのイチロー外野手（３４）は３打数１安打だったが、４回に右翼線安打で二塁を狙ったプホルスを強肩で刺す“レーザービーム”を披露した。試合は史上最長となる４時間５０分の末、ア・リーグが延長１５回にサヨナラ勝ちし、１分けをはさんで１１連勝。ＭＶＰには７回に同点２ランを放ったＪ・Ｄ・ドリュー外野手（３２）＝Ｒソックス＝が選ばれた。後半戦は１７日から再開される。

　右翼からイチローが“風”を吹かせた。フェンスに跳ね返った打球をキャッチ。無駄のない動きで強肩をうならせると、ボールは二塁で待つ遊撃手のジーターのグラブにワンバウンドで収まった。打ったプホルスは楽々アウト。最高の舞台で５１番のレーザービームが放たれた。

　延長１５回まで続いた接戦は、４回１死のこのプレーから始まったと言ってもいい。大好きなヤンキー・スタジアムで大歓声を浴びた名手は、「気持ちよかった。この場所でああいう打球が来るのが僕ということ」とおどけてみせた。

バットでも当然のように安打を製造した。３回先頭、ザンブラーノのチェンジアップを「何となく手が出ちゃった」と右前へクリーンヒット。だが、２年連続ＭＶＰを狙っていた男の真意は別だった。全打席で一発を狙っていたのかを問われると、「もちろんですよ。当たり前じゃないですか。何を言っているんですか」と笑い飛ばした。

　所属するマ軍はメジャー最低勝率でプレーオフ進出が絶望的。１９２３年に完成した今のヤンキー・スタジアムでプレーするのも今回が最後だろう。世界一２６度の名門チームの誇る実績や伝統、球場の雰囲気、そしてメジャーで最も厳しいというニューヨークのファンへの敬意を、全身で表現。「ここで最後にプレーさせていただいたファンの人に、改めて感謝したい」クールに別れを告げた。

　使用したシルバーのスパイクは、グラウンドの土が付着したまま記念に持ち帰るつもりだ。「無条件で楽しかった。何か起こっても、起こらなくてもね」球宴の素晴らしさを再認識した背番号５１。延長１５回、４時間５０分、６３人出場という歴史的な一戦で、ひときわまばゆい光を放っていた。

参照元：スポーツ報知