金刃ＣＳ第４の男に浮上

◆巨人１―３横浜（３日、東京ドーム）　巨人はペナントレース最終戦の横浜戦に逆転負け。８０勝６３敗１分けでレギュラーシーズンを終えた。５年ぶりの優勝から一夜明け、長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督が東京ドームの監督室を訪れ、原監督を祝福。勝って有終を飾ることはできなかったが、先発・金刃が７回無失点と好投。日本シリーズ出場をかけたクライマックスシリーズに向けて、貴重な戦力となりそうだ。

　ポーカーフェースは崩さない。金刃は心を乱さなかった。５回２死。仁志に対するカウント２―１からの５球目、一塁走者・石井の二盗は微妙なタイミングだった。しかし、セーフの判定。球場もざわめいたが、直後、緩い１１６キロのスライダーで仁志を空振り三振に仕留めた。涼しい顔でベンチへ引き揚げるその表情が、完全復活を告げていた。

　自信を取り戻した。先発は８月２５日、対広島戦以来。両サイド低めに直球を散らし、緩いスライダーを交えて的を絞らせない。７回を４安打無失点。久保が逆転を許して８勝目は消えたが消化試合を感じさせない力投だった。「最後の最後でいい投球ができました」と笑顔を見せた。

　９月中旬、背筋痛から復帰するとフォームの微調整に苦しんだ。右足を上げた時、体が反り、右肩が入り過ぎることを防ぐため、ノーワインドアップから振りかぶる投球に変更。３０日の紅白戦で２回１安打無失点の結果に「この１週間はいいフォームで投げられた」と手応えを感じていた。

　原監督にとっても待ち望んだ快投だった。クライマックスシリーズ（ＣＳ）第２ステージは５連戦で行われるため、先発を最低４人そろえる必要がある。２ケタ勝利を挙げた高橋尚、内海、木佐貫は決定的だが、それに次ぐ“第４の男”の出現がカギとなっていた。それだけに「心配していたが、きょうは非常に良かった。４番目の先発候補？　当然、そうでしょう」と指揮官は高く評価。シーズン終盤、好投を続けた野間口とその座を巡って争う権利を得た。

　ルーキーイヤーの今季、登板するたびにノートに気づいた点を書いた。内容は調子や投球フォームのことだけでなく、各審判のストライクゾーンのクセにまで及んだ。「もっと細かく、球数とかも付けていきたい」と精神的成長を見せた。

　新人王は記者投票で選ばれるが、ライバルの阪神・上園がこの日、ヤクルト戦で８勝目を挙げ、勝ち星は上回られた。だが、開幕から先発ローテを守り、快進撃に貢献。印象度では劣っていない。「１年間、コンディションを保つことが、いかに難しいかを実感しました」こう振り返った。ＣＳ、そして日本シリーズの活躍で星の差を埋める。

　巨人・原監督「金刃は心配していたところがあったが、きょうはよかったね。欲をいえば勝ち星をつけてあげたかった。（クライマックスシリーズの先発候補？）当然、そうなるでしょう。（今後は）いいコンディションでクライマックスシリーズを迎えられるようにしたい。その一点です」

参照元：スポーツ報知