貴乃花部屋に４年ぶり新弟子…８人目の力士

大相撲の貴乃花部屋に待望の新弟子が入門することが１９日、内定した。さいたま市出身の松原哉太君（１５）で、父・輝男さん（４９）は時津風部屋の三段目力士だった。貴乃花親方（３５）にとっては４年ぶりとなる新弟子で、３月１日に大阪市内で行われる春場所新弟子検査を受検する。０６年九州場所で元十両の五剣山が引退してから、力士７人だった部屋に差し込んだ新しい光。名門復興へ、貴乃花親方が小さくも大きな一歩を踏み出した。

　貴乃花親方はこの日、松原君が通うさいたま市立土呂（とろ）中を訪れ井上馨校長（５６）と父・輝男さんにあいさつし、入門の快諾を得た。４年ぶりの新弟子に「指導力を今まで以上につけ、切磋琢磨（せっさたくま）しながら虚心坦懐（きょしんたんかい）取り組んで参ります」と決意を新たにした。

　１８３センチ、１３７キロの松原君は相撲経験こそないが、輝男さんが元時津風部屋力士だった影響もあり、中学２年で力士を志した。部屋を選ぶ時、父は自らの経験から「力士が少なく親方の目が届く部屋がいい」とアドバイス。インターネットでで調べ、選んだのが貴乃花部屋。１月２８日、輝男さんが部屋に入門志願の電話をかけ、１月３１日に面会して入門に合意した。

　貴乃花親方にとって念願の新弟子だ。０４年２月、父の故・二子山親方（元大関・貴ノ花）から部屋を継承し貴乃花部屋となって２人が入門したが、いずれも挫折。二子山部屋時代は最大１０人の関取を抱え５０人近い力士が在籍したが、０６年九州場所後には力士が７人に減少。それでも「やる気のある子を育てたい」とあえて強引な勧誘を控え、入門希望者の出現を待っていたが、ようやく“待ち人”がやってきた。

　今月７日には東京・中野新橋の部屋に宿泊。親方も師匠になって初めて学校を訪問し、誠意を尽くした。「ちゃんこもおいしかったし、不安はありません。けいこに耐えて目標は横綱です」と松原君。２４日には京都の宿舎に入り新弟子検査に備える。「体が柔らかく天性のものを感じます」と貴乃花親方は目を輝かせていた。（福留　崇広）

　◆父・輝男さんは元時津風部屋　○…松原君の父・輝男さんは７７年、時津風部屋に入門し、三段目まで上がったが２年で角界を去った。当時は幕内・蔵間（故人）の付け人を務め、序ノ口力士傷害致死事件で逮捕された元小結・双津竜の山本順一容疑者とも同じ釜の飯を食べていたという。松原君が中２の終わりだった昨春、時津風部屋への入門も考え部屋に電話し、山本容疑者と会話したという。「話しましたが、時津風には入れるつもりはありませんでした」と言葉少なだった。

　◆松原　哉太（まつばら・かなた）１９９２年９月２３日、さいたま市生まれ。１５歳。さいたま市立島小時代は野球部に在籍。土呂中ではスポーツ経験はなかった。１８３センチ、１３７キロ。家族は父、姉２人。好きな力士は大関・千代大海。ちなみに貴乃花親方の現役時代は「知らない」そうで、現在、ＤＶＤで親方の現役時代の雄姿を見て「すごい」と驚いている。

参照元：スポーツ報知