豪栄道１敗死守！９３年ぶり新入幕Ｖだ…大相撲秋場所９日目

◆大相撲秋場所９日目　○豪栄道（外掛け）旭天鵬●（１７日・両国国技館）　新入幕の豪栄道（２１）＝境川＝が優勝争いのトップに躍り出た。生き残りをかけた元関脇・旭天鵬（３３）＝大島＝との１敗対決を、絶妙な外掛けで倒し勝ち越しを決めた。初黒星を喫した新関脇・安美錦（２８）＝安治川＝、横綱・白鵬（２２）＝宮城野＝と共に、優勝争いのトップに立った。１９０９年の優勝制度の制定から新入幕力士の優勝は１９１４年の両国ただ一人。９３年ぶりの歴史的偉業へ、２１歳の若武者が挑む。

　優勝戦線に残ったのは、２１歳の若武者だった。１敗で並んでいた旭天鵬とのサバイバルマッチ。土俵際に押し込まれる場面もあったが、豪栄道は力で押し返して、最後は外掛けでなぎ倒した。

　元関脇の実力者を破り１敗をキープ。「とにかく必至。いつもがむしゃらにやっていますから」新入幕で９日目までに勝ち越した力士は、元横綱・大鵬ら過去わずか１２人。１８３センチ、１４０キロ。決して大きくない体だが、無限の可能性を感じさせる白星だった。

　大阪・寝屋川市出身。小学１年から相撲を始めると、５年でわんぱく横綱に輝いた。相撲留学した埼玉栄高時代には１１冠を獲得。鳴り物入りで境川部屋に入門し、０５年初場所初土俵を踏んだ。所要１６場所での入幕は立派な数字だ。だが、同期の栃煌山（春日野）、豊響（境川）に入幕で先を越されたことは“エリート”にとっては屈辱の出来事。それでも、悔しさを口にすることなく、黙々とけいこに励んだ。

　父・雅博さん（５１）は「高校時代からけがをしてつらくても口に出さない。気の強いところがある。いつも周囲がおかしいってことに気付くんです」と話す。十両時代には、左ひじを負傷したこともあったが、他人に弱みは決して見せなかった。

　期待は膨らむ。個人優勝制度（１９０９年以降）ができてから新入幕Ｖは、１４年夏場所の両国１人だけ。師匠・境川親方（元小結・両国）は「前に攻めているのがいい」と目を細める。「優勝？　今は何も考えてません」と無欲の豪栄道。男は黙って結果を出す。

参照元：スポーツ報知