浦和アジア制覇！史上初無敗で決めた…ＡＣＬ決勝第２戦

◆アジア・チャンピオンズリーグ決勝第２戦　浦和２―０セパハン（１４日・埼玉スタジアム）　浦和が１４日のアジア・チャンピオンズリーグ（ＡＣＬ）決勝第２戦、ホームでセパハン（イラン）を２―０で下し（２戦合計３―１）、日本のクラブとしてＡＣＬ初優勝、１次リーグから参加したチームとしては初の無敗優勝という歴史的偉業を達成した。１９９９年Ｊ２降格という地獄を見たが、埼玉スタジアムを埋め尽くすアジア屈指の巨大サポーターとともについにアジアの頂点に立った。この勢いで１２月開幕のトヨタ・クラブＷ杯（日本各地）で世界の強豪クラブを撃破する。

　埼玉の夜空にかつてないほどの歓喜が降り注いだ。新アジア王者誕生の瞬間を迎えるホイッスルが鳴り響いた瞬間、赤い勇者は万感の雄たけびを上げた。埼玉スタジアムのバックスタンドに巨大白星をかたどった５万９０３４人のサポーターは「ＷＥ　ＡＲＥ　ＲＥＤＳ」の凱歌を繰り返す。くしくも埼玉県民の日に運命の祝祭が展開された。「アジアで１番。歴史を刻んだという達成感があります」満面の笑みのＭＦ長谷部は両手を高らかに上げた。

　最終決戦で圧倒的な強さを見せた。前半２２分、下部組織の三菱養和からの生え抜き、ＦＷ永井が右足で先制弾。大会ＭＶＰに輝いた。後半２６分には今季約４億円で千葉から獲得した唯一の補強選手ＭＦ阿部がヘッドで追加弾を決めた。そして、左太もも肉離れから復活したＤＦ闘莉王がゴールに鍵をかけた。ＡＣＬで１次リーグを戦ったクラブの無敗優勝は史上初。「敵地で負けず、ホームで勝つ。ＡＣＬの優勝法を見せた」と藤口光紀社長が振り返った。

　初参戦は苦難の連続だった。３月７日の初戦、ホームのペルシク・ケディリ（インドネシア）戦では途中交代で激怒したＦＷワシントンが試合中に帰宅する造反ぼっ発。劣悪環境の５月のインドネシア遠征は競技場に簡易便器を持参。９月の全北（韓国）戦ではスタンドのロケット花火と投石地獄に苦しみ、今月７日の決勝初戦は標高１６７５メートルの高地特有の空気乾燥に襲われた。だが、過酷な洗礼に耐え抜いた。

　「今までサポーターが強くて、チームは結果が伴わなかった。やっと結果を出して、彼らと同じところにたどり着ける。恩返ししたい」ＭＦ鈴木は語る。９９年のＪ２降格の悲劇からわずか８年。「あの時選手全員が残って、サポーターもついてきてくれたから今がある」後半ロスタイムに途中出場した最年長ＭＦ岡野も万感の思いで回想した。ロッカーではサポーターが準備したシャンパンを味わった。

　昨年、Ｇ大阪のＡＣＬアウェー全試合に北野大輔強化担当を帯同。今季は１５度にも及ぶ敵地へのスカウト派遣、移動、宿泊など経費総額は２億円。年間ホーム入場者数がＪ史上初の１００万人突破目前の絶大な支持基盤があればこその大予算で、アウェー１勝５分けという強さを手にいれた。

　１２月開幕のトヨタ・クラブＷ杯にはアジアの盟主として参戦する。巨大サポーターとともに勇躍、世界の頂点を目指す。

参照元：スポーツ報知