朝青龍豪快！巨漢・把瑠都フワリ…大相撲夏場所２日目

◆大相撲夏場所２日目　○朝青龍（下手ひねり）把瑠都●（１２日・両国国技館）　黒星スタートを喫した横綱・朝青龍（２７）＝高砂＝が怪力を発揮し白星をつかんだ。１９７センチ、１７５キロの“エストニアの怪物”把瑠都（２３）＝尾上＝の巨体を驚異的なパワーで浮かせ下手ひねりで転がした。豪快な白星の裏側で初日に悪化させた腰は、トレーナーを自宅に呼び寄せ緊急治療を施すなど依然、予断を許さない状態に陥っていることが判明。３日目の黒海（２７）＝追手風＝との一番で真価が問われる。

　朝青龍は必死だった。腰に激しい痛みが襲ってくる。目の前には山のような巨体・把瑠都がいる。「胸を合わせると、とんでもない力を出してくる」満身創痍（そうい）の体で怪物パワーに抵抗するには、真っ正面から受け止める横綱相撲を捨てなければならなかった。立ち合いで左下手を引くと、相手の胸に頭を付けた。

　ただ、これで終わらないのが優勝２２回のパワーだった。右上手を引くと１９７センチ、１７５キロの体を浮かせたのだ。次の瞬間、左からひねりを加え豪快にエストニアの怪物を転がした。「腰を低くして冷静にいけた」稀勢の里に喫した初日の惨敗を補ってあまりある内容で白星を決めた。

「大丈夫だよ」痛めた腰は問題なしを強調する。が、舞台裏は違っていた。前夜は激痛を抑えるため急きょ、自宅のベッドを硬いマットに替えた。この日は専属トレーナーを呼び寄せ緊急治療。さらに、別のトレーナーにテーピングを施してもらうほど入念にケアした。連敗していれば休場も浮上した一番。徹底的な自己管理で最大の危機を脱した。

　綱渡りの白星にも北の湖理事長は「朝青龍が上がってきたころの相撲だった」と評価した。実は初日の前日となる１０日に知人の紹介で埼玉栄高を訪問。高校生のけいこを見てモンゴルから明徳義塾高へ相撲留学した時の初心を思い出した。相手に必死に食らいつく相撲は、原点を思い出したからこそ生まれた。

　腰の状態は戻ってないが、支度部屋では悪態が復活した。初日の反省を聞いた記者に「何で反省しなきゃいけないんだ！　お前どこの社だ！　年いくつだ！　大学どこだ！」と逆質問を連発。土俵はもちろん、支度部屋でも目が離せない暴れん坊横綱。やっぱり今場所も主役は譲らない。

参照元：スポーツ報知