朝青龍泣いた！白鵬２秒殺で３場所ぶり復活Ｖ…大相撲名古屋場所千秋楽

　◆大相撲名古屋場所千秋楽　○朝青龍（寄り切り）白鵬●（２２日、愛知県体育館）　横綱・朝青龍（２６）＝高砂＝が復活Ｖを決めた。大関昇進を決めていた関脇・琴光喜（３１）＝佐渡ケ嶽＝が敗れて３５場所ぶりのＶを逃し、５年ぶりに実現した白鵬（２２）＝宮城野＝との千秋楽での横綱同士の一番で、朝青龍はわずか２秒９の速攻で寄り切り、３場所ぶり２１度目の優勝を達成した。秋場所は０３年九州場所以来となる２横綱４大関の戦国時代に突入するが、最強横綱は主役の座を譲らない。

　復活優勝の花道で、朝青龍が両手を広げた。まるでＶの字を描くようなパフォーマンスは最強横綱がよみがえった瞬間だった。「みなさんの応援のおかげで勝てました」優勝インタビューで絶叫した。これで名古屋は４連覇。よほど感激したのか、支度部屋では目に涙を浮かべ「うれしい」を４度も繰り返した。

　５年ぶりに実現した千秋楽の横綱対決。０３年春に昇進した朝青龍にとって「夢だった」瞬間がやってきた。琴光喜が敗れ、勝てば３場所ぶりの優勝が決まる。息詰まる立ち合い。心に浮かんだ思いは一つだった。「オレが横綱だ」新横綱を気迫でのみ込んだ。一瞬で右を差し左上手を引きつけるとアッという間に白鵬の体を寄り切った。わずか２秒９。電光石火のスピードは２場所連続でＶ逸した屈辱を一気に晴らすド迫力だった。師匠の高砂親方（元大関・朝潮）は「まだまだ本当の横綱は朝青龍だと示した」と絶賛した。

　復活をかけた名古屋へ神様は非情だった。場所前のけいこで古傷の左ひじを負傷。じん帯が腫れ満足に曲げられない状態に医師からは、「野球の投手だったら手術が必要です」と宣告されたほど。追い打ちをかけるように腰痛に見舞われた。７日目の夜には３８度の高熱に侵され、注射、点滴、薬を服用し自室に加湿器を３台入れ回復を待った。かつてない危機に「負けたらオレらしくない」。強じんな精神力だけで１日１番に集中した。

　来場所は琴光喜が大関に昇進。さらに優勝争いは激しくなる。「光喜にはおめでとうと言いたい」憎らしいほどの余裕。賜杯はもう誰にも渡さない。

参照元：スポーツ報知