把瑠都すごい８連勝…九州場所１０日目

◆大相撲九州場所１０日目　○把瑠都（寄り切り）千代大海●（１８日・福岡国際センター）　新関脇・把瑠都が怪物パワーで８連勝を決めた。大関・千代大海を驚異的な力でつり上げてから寄り切り、２敗を死守。この勢いで１１日目に対戦する１敗の横綱・白鵬から初白星を奪い、２ケタ勝利につなげて大関取りの起点にする。大関取りが懸かる関脇・安馬も勝ち越し。優勝争いは１敗の白鵬と平幕の雅山。２敗の安馬と把瑠都の４人に絞られてきた。

　驚異の光景だった。把瑠都は、もろ差しで千代大海を挟み込んだ。半身の大関に左からの内掛けで抵抗され、掛け投げや河津掛けを受けたが、１９８センチ、１７７キロの巨体は揺るがなかった。館内がどよめいたのは、次の瞬間だった。

　まるでクレーン車のように１５０キロの大関の体をつり上げ、いとも簡単に寄り切った。「動かそうと思ってもビクともしない」大関在位５９場所。百戦錬磨の千代大海もあきれるほどすさまじい把瑠都の怪力だった。

　規格外の力に、武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）も「すごいね」と笑うしかない。周囲のどよめきにも把瑠都は涼しい顔だ。「立ち合いが良かった。１回投げに行こうとしたけどヤバイと思って、やめたんだ」怪力より、冷静に相手の動きを見切った内容を自画自賛した。これで新関脇場所を３日目から一気の８連勝で勝ち越し。２ケタ勝てば大関取りの起点になるだけに「一番一番大切にしたい」と気持ちを引き締めた。

　連勝の陰に、兄弟子の背中がある。入門以来、世話になってきた幕下の里山が、水ぼうそうで２日目から入院。体調不良の中、この日から復活した。「何とか土俵には上がりたい」と里山。把瑠都は「うつしてほしくないよ」とジョークで本心を隠すが、今は付け人を務める兄弟子の土俵にかける執念が闘志をかき立たせた。

　１１日目は横綱に挑む。武蔵川理事長は「白鵬にとって把瑠都は脅威だ」と予告する。「ガップリ四つになりたいね。今日は早く帰って寝るよ」大一番を前に周囲を笑わせた怪物。その余裕が優勝争いでも主役に躍り出る予感を漂わせていた。

参照元：スポーツ報知