把瑠都、幕尻Ｖあるぞ！完全復活怒とうの３連勝…九州場所３日目

◆大相撲九州場所３日目　○把瑠都（寄り切り）栃煌山●（１３日・福岡国際センター）　東前頭１６枚目の“エストニアの怪物”把瑠都（２３）＝尾上＝が、２０００年春場所の貴闘力以来となる史上２人目の幕尻Ｖへ、怒とうの３連勝を決めた。東前頭１５枚目の栃煌山（２０）＝春日野＝を問題にせず寄り切りで完勝。左ひざのけがで十両に陥落した不振から完全復活した。全勝は把瑠都を含め４人だが、三役以上は大関・千代大海（３１）＝九重＝ただ一人と、序盤戦で早くも混戦模様になってきた。

　とても幕尻の相撲ではなかった。把瑠都は一瞬で左四つに栃煌山を組み止めると、いとも簡単に寄り切った。「前に足が出ていますね」驚異のパワー復活の３連勝に、笑顔がはじけた。

　場所前の５日、２３歳の誕生日を迎えた。思わず口から出たのは「悪いことばかりの２２歳だったよ」。昨年秋に左ひざじん帯を痛め途中休場。年明けの初場所で再び左ひざを痛め十両へ陥落。夏で十両優勝し幕内復帰も、名古屋が途中休場でまたも陥落。先場所も十両で優勝したが「何か寂しいよ」とつぶやいた。

　さらに悪いことは重なる。名古屋場所後の７月下旬、ジャージーにざんばら髪で六本木を出歩き、一般人とトラブルを起こした。尾上親方（元小結・浜ノ嶋）から秋場所までの謹慎を通告され、予定していた母国への里帰りが消滅。協会からも厳重注意処分を受けた。

　荒れる心を支えたのは家族の励ましだった。電話で母ティナさんの声を聞くと心は落ち着いた。場所前には佐渡ケ嶽部屋に精力的に出げいこを敢行。さらに左ひざのケアに温泉へ通い、土俵に全神経を集中する態勢を作った。番付は東前頭１６枚目の幕尻だが、地力はとうに三役級だ。北の湖理事長も３連勝に「妥当な力」と絶賛した。快進撃が続けば史上２人目の幕尻Ｖも夢ではない。「攻めるだけ」ドン底を経験し一回り成長した怪物が九州で台風の目になる。

参照元：スポーツ報知