北の湖理事長「白鵬が悪い」…横審“総意”受け異例の両横綱厳重注意へ

日本相撲協会の北の湖理事長が夏場所千秋楽の土俵で乱闘寸前の醜態を起こした朝青龍（２７）＝高砂＝と白鵬（２３）＝宮城野＝の両横綱を２７日、呼び出して直接、厳重注意することが２６日、分かった。この日の横綱審議委員会で理事長は今回の醜態の原因を「白鵬が悪い」と明言したが、横審各委員はにらみ合いに関し「けんか両成敗」を主張。理事長に両横綱への注意を進言した。両横綱が同時に注意を受けることは異例中の異例だ。

　勝敗が決した土俵で起こった横綱同士による醜態劇。北の湖理事長が２７日に朝青龍と白鵬を理事長室に呼び出し直接、注意を与えることが決定した。異例の事態は横審で決まった。委員会で北の湖理事長は「悪いのは白鵬」と明言。朝青龍のダメ押しは「流れで起きたことでその後にひじを突いた行為が悪い」と見解を示した。

　確かにダメ押しは相撲の中で想定内の事態。ただ、白鵬の行為は明らかな報復で完全に想定外の暴挙だ。実際、理事長はこの日、午後２時５０分に白鵬の師匠の宮城野親方（元十両・金親）だけを協会に呼んで「白鵬に注意するように」と指導した。朝青龍の師匠の高砂親方（元大関・朝潮）は入院中で呼べない事情はあったが、代わりに部屋付きの親方を呼ぶことはできた。宮城野親方だけを呼んだところに理事長の今回の問題に対しての姿勢が表れていた。

　これに対し各委員はダメ押しに関し理事長の見方に理解を示したが、にらみ合いに関しては「白鵬だけが悪いのか。けんか両成敗ではないのか」と内館牧子委員（５９）らが主張。協会側から出席した幹部一人も同調する意見が出た。こうした議論の中で海老沢勝二委員長（７４）が「両横綱を理事長が呼んで注意してほしい」と横審の総意として進言。理事長もにらみ合いに関してはけんか両成敗との意見を受け入れ、２７日午後に２人呼んで注意することを決断した。

　両横綱が呼び出される異例の事態。白鵬は初めてだが朝青龍に至っては昨年夏のサッカー騒動に続く立て続けの不祥事だ。「長い歴史の中で好ましないこと。横綱として正々堂々と土俵を務めてほしい」と海老沢委員長は最後まで苦言を呈していた。（福留　崇広）

　◇夏場所千秋楽、朝青龍―白鵬ＶＴＲ　引き落としで勝った朝青龍（朝）が、土俵に両手をついた白鵬（白）の背中を両手と両ひざでダメ押し。これに切れた白が、右肩を朝の腹にぶつけ押し返すと、朝も白の顔面を右手ではたく。怒りが頂点に達した両横綱は土俵上で約３秒間、にらみ合った。

　【過去の主な理事長の横綱への注意】
  ▽１９６５年５月　大鵬と柏戸の両横綱に短銃の不法所持疑惑が浮上し時津風理事長（元横綱・双葉山）が厳重注意。
  ▽８９年９月２４日　横綱・大乃国が秋場所千秋楽で負け越しを喫し二子山理事長（元横綱・若乃花）に引退を申し入れるも理事長は却下。
  ▽２００７年７月３０日　横綱・朝青龍が夏巡業への休場届を出しながら母国モンゴルでサッカーに興じ、朝青龍が北の湖理事長に謝罪。

参照元：スポーツ報知