キレなかったクルーン雪辱Ｓ！先頭死球出しても３人締め

◆巨人３―２広島（２９日、東京ドーム）　クルーンが悪夢を振り払い、勝利の雄たけびを上げた。２７日の阪神戦（甲子園）でサヨナラ負けしたうえに暴言退場となった守護神が、１点リードの９回に登板。先頭の栗原に死球を与えたものの、後続を抑えて７セーブ目を挙げた。先発のグライシンガーが７回２失点の粘投で３勝目。打線もゴンザレスが決勝の１号ソロを含む２打点にラミレスの看板弾と、助っ人４人で勝利をつかんだ。これで日本人選手も奮起しなかったら、男じゃない。

　併殺が完成した瞬間、クルーンは力の限り握った右手を高々と突き上げた。一度下げかけ、やっぱり、もう一度突き上げた。「ああいうことがあった後、期間を空けるよりもなるべく早くセーブを挙げて払しょくしたかった」阿部とお決まりのハイタッチを交わしたのを合図に、ナインの輪の中心となった。

　移籍後初の救援失敗から、中１日。１点リードという同じ状況で、リベンジの舞台は巡ってきた。先頭・栗原への初球は今季１２試合目で初めて、自慢の剛速球ではなくフォーク。「とにかく先頭を打ち取ること」を頭に置いて、慎重を期した。結果、カウント１―１からの抜けたフォークが死球となったが、落ち着いていた。シーボルを３球三振に切り捨てると、最後は石原を二ゴロ併殺に仕留めた。前回登板で投げ急いだために乱れたリリースポイントも修正。７セーブ目を挙げ、自信を復活させた。「きょう、セーブを挙げる機会があってよかった」と汚名返上の舞台を与えてくれたナインに感謝した。原監督も「本人もナーバスになっていたかもしれないが、しっかりと（壁を）越えてくれました」とたたえた。

　２７日の阪神戦（甲子園）。１点リードの９回に同点とされた後、新井に押し出し四球を与えてサヨナラ負け。カウント２―３から微妙な判定に、友寄球審に猛抗議、暴言で自身初の退場となった。「僕はこれまで審判に詰め寄って抗議したこともないし、退場したこともない。だが、すごく大事な試合の勝敗を決める１球。正当な主張をせざるを得ない状況だった」。翌朝の新聞報道を見て、担当通訳に「俺は（２７日の）試合後に裸で帰ったのか？」と確認した。普段は気さくにファンに対応する紳士的な男が、記憶が飛ぶほど興奮したのも、すべてはチームの勝利を願っているからだ。

　世間の大型連休に合わせ、チームには過密日程が待っている。この日からの３連戦、そして５月３日からの９連戦がひとつのヤマ場となる。指揮官は「この時期に（チームの）コンディションを整えて、戦いに挑む。そういう時間にしたい」と力を込めた。

　そんな中で、プライドを取り戻した守護神が、何より頼もしい。クルーンは「９回に３人を歩かせる人は抑えをできない。（２７日の）最後の球は今でもストライクと確信しているけど、そういう状況を作ってしまった僕が悪い」と反省材料にした。苦い思いはすべて、過去のものだ。

　巨人・原監督「（１点差の勝利ですが？）こういうゲームが続きますね。もう少し活気ある打線にならないといけない。クルーンは甲子園の後だから本人もナーバスになっていたのかもしれない。ヒヤッとはしましたが、しっかりと抑えてくれてよかったです。この３連戦、そして９連戦と続くこの時期に、コンディションを整えて戦いに挑む、そういう時間にしたい」

参照元：スポーツ報知