オシム監督、４万人黙らせろ！“敵を味方に”秘策伝授…１６日アジア杯ベトナム戦

◆サッカー　アジア・カップ　▽１次リーグＢ組最終戦　ベトナム―日本（１６日、ハノイ）【ハノイ（ベトナム）１５日】日本代表のイビチャ・オシム監督（６６）が、４万人の地元観衆を味方につける秘策を授けたことが１５日、分かった。１６日の１次リーグ最終戦、ベトナム戦に向け、老将は公式会見では慎重なコメントを連発。実はその裏で、選手に早い時間帯に得点しサポーターを意気消沈させ、逆に４万観衆が相手のプレッシャーとなるような展開に持ち込むことを指示した。目指すは４大会連続の１位突破だ。

　老将が使い分ける「表と裏」の顔。ベトナム戦前日も、それは見事に浮き彫りとなった。公式会見では慎重なコメントに終始。「ベトナムにとって歴史的な試合になる。ホームであり、ベトナムがいいゲームをする可能性はある」と相手を持ち上げたかと思えば、選手やスタッフが口をそろえる１位突破に関しても、「通過することがまず優先。通過した後でほかのことについて考える」と、独特な言い回しでけむに巻いた。だが、それはもちろん、本心ではなかった。

　今大会１勝１分けと負けなしのベトナム。勢いを生み出す最大の要因はスタンドを埋める４万を超える大観衆だ。オシム監督は、誰もが恐れる逆風に自分もおびえているかのように振る舞い、実は選手にはそれが日本の追い風となる可能性を指摘。「相手には４万人のサポートがある。こちらは心理的に厳しいが、それをひっくり返してみろ！　そうすれば、相手は精神的にその倍きつくなるんだ」と、指示していた。

　その秘策のポイントは、早い時間帯の得点にある。俊輔はベトナムに関して、「カタール戦で１点取られてから極端に動けなくなった。（サポーターも）期待してた分、静かになったり、やっぱり日本が違うなと４万人が思えば、向こうは動きが鈍くなる」と話した。早い段階でゴールを奪えれば、大群衆が逆に相手に重圧となり、焦りも生み出せる。

　「中国大会もそうだった」と俊輔。３年前の前回大会決勝は、反日感情が渦巻く中、地元・中国と対戦。６万を超える地元観客が敵となった。だが、前半２２分にＭＦ福西のゴールで先制すると、スタジアムは意気消沈。一気に日本のペースに持ち込むことができ、結果、３―１と快勝している。

　「余計なことを口走って、ただでさえモチベーションが上がっている相手を勇気付けるようなことはしたくない」会見の終盤、そう言って幕を引いた指揮官だが、さすがに一筋縄ではいかない。その思惑通りに展開すれば、日本の１位突破は開かれる。

　◆日本の勝ち上がり　最終戦で日本負け、カタール勝ち以外なら、日本は１次リーグを突破。日本は勝つか、または引き分けてもカタールがＵＡＥに引き分けか負けなら１位となる。※の場合、勝ち点５で日本、ベトナム、カタールが並ぶ。順位決定は勝ち点が同じ場合、〈１〉３チーム間での得失点差〈２〉同総得点〈３〉１次リーグ全体の得失点差〈４〉同総得点の順に決め、日本とベトナムは〈３〉までは同じだが、〈４〉で日本が上。カタールの結果に関係なく、日本の２位以上が確定。さらに日本―ベトナム戦が０―０ならカタール１位、日本２位。２―２以上なら日本１位、ベトナム２位。１―１の場合の順位は、カタールの３戦目の得失点次第となる。

参照元：スポーツ報知