北島、今季世界最高！！５年ぶり日本新、五輪Ｖ２見えた…競泳

◆北京五輪代表選考会　競泳日本選手権第５日（１９日・東京辰巳国際水泳場）　待ってろ、ハンセン！！　男子二百メートル平泳ぎ決勝で、０４年アテネ五輪男子平泳ぎ金メダルの北島康介（２５）＝日本コカ・コーラ＝が、今季世界最高となる２分８秒８４で派遣標準Ｓを突破。２年連続６度目の優勝で、百メートルに続き北京五輪代表入りを決めた。この種目では実に１７３１日ぶりに自身の日本記録を更新。宿敵ブレンダン・ハンセン（２６）＝米国＝に続く人類２人目の２分９秒切りにも突入。ハンセンの世界記録に０秒３４と迫り、８月の北京五輪でのＶ２＆世界新を完全に射程にとらえた。

　「よっしゃーっ！！」北島はゴール直後、雄たけびを上げ、右拳を水面に思い切り叩きつけた。久々にスイマー特有の達成感をかみしめる。０３年７月以来、約４年９か月ぶりの日本新。「ようやく超えられた。これで目の前が晴れて五輪までいける」五輪王者に確かな自信が戻った。

　１５０メートルまで、軽く滑らかな泳ぎで宿敵ハンセンの世界記録をスイスイと上回った。まるで潜水艦だ。ストロークと息継ぎが減り、水中にいる時間が長くなった。左右に大きく両腕を広げて水をかき、大きく前方へと伸びる。じっくりと体力をつけ今季、編み出した腕のかきとキックで２段階加速する「４ＷＤ」泳法。世界記録には０秒３４及ばなかったが、人類２人目の２分８秒台。北島は「あと、もうちょっとだったぁ～」と苦笑いだ。

　最高に大きな泳ぎだった。「理想の泳ぎ」としてきた世界記録（当時）を樹立した０２年アジア大会の泳ぎのストローク数は１５、１５、１６、１９と計６５回の自己最少。この日は１５、１５、１５、１９回の計６４回と１回減った。「このテンポは今の完成形」と、北島は胸を張った。

　２月末から約１か月、米国で高地合宿。二百メートルのレースペースの練習と上半身の筋力トレーニングでパワーアップ。「五輪では勝負は最後の２５メートルになる。後半を意識した練習」と平井伯昌コーチ（４４）。近年、腕のかきが鈍り失速が目立った課題のラスト５０メートルを、腕を引きすぎない力強いかきで３３秒台でまとめてみせた。

　北京での目標は“兄貴”超えだ。五輪Ｖ４を狙った柔道男子６０キロ級の野村忠宏（３３）＝ミキハウス＝が、まさかの代表落ち。今回、どちらが多く取るか賭けをしていた北島は「テレビで見てショックだった」。その後、「悪いけど、抜かせてもらいますよ」と野村に連絡。金メダル４個で逆転となる北京での２冠ゲットを「尊敬する先輩」に約束した。

　今季、二百メートル平泳ぎは２分９秒台が４人も出た。それでも北島は「北京ではセンターポールに日の丸を上げたい」とＶ２宣言。平井コーチは「２分７秒も狙える。ハンセンに『ネット（で北島の記録）をよく見ろ！！』と言いたい」と笑った。真夏の北京へと続く“金メダルロード”＆世界記録の奪還が、はっきりと見えた。

　◆観客大会最高４３４８人　○…会場も“チョー”満員の大盛況だ。北島の泳ぎを一目見ようと、今大会最高の４３４８人が詰めかけた。最高値５０００円の約２３００席が完売。スポンサーもＴＢＣなど５社が新たに加わり、国内競泳大会最多の１９社に。大手広告代理店関係者は、「ＮＨＫテレビのゴールデンでの生放送は、野球とサッカー以外ではない。宣伝効果は大きい」と“北島景気”を口にしていた。

　◆今後の予定　６月に米アリゾナ州フラッグスタッフで標高２１００メートルでの高地合宿を行い、上半身の強化など体作りに着手する。北京五輪に向けた最後の調整試合は、日本代表の五輪壮行会「ジャパンオープン２００８」（６月６―８日・東京・辰巳）か、フランス、モナコ、スペインなどで行われる賞金レース、または欧州ＧＰになる予定。

参照元：スポーツ報知