ダル、初実戦いきなり１５３キロ！…日本ハム

　◆練習試合　阪神２―５日本ハム（１１日・宜野座）　ＷＢＣ日本代表候補の日本ハム・ダルビッシュ有投手（２２）が１１日、阪神との練習試合に先発。今年の実戦初登板で、いきなり直球の最速が１５３キロを計測した。結果だけを見れば不運な当たりが重なり、２回４安打１失点。それでも、本番さながらの球のキレ、威力に「指にかかった時の真っすぐは良かった」と満足顔。視察に訪れたＷＢＣ日本代表の山田久志投手コーチ（６０）も手放しでたたえた。

　ダルビッシュの剛速球が宜野座の観衆を皆、くぎ付けにした。球場にスピード表示はなくても、そのすごさは疑いようがない。「指にかかった真っすぐは、１５０ちょっと出てたと思います」本人の感覚通り、阪神のスピードガンで直球は最速１５３キロを計測。今年の実戦初登板で、いきなり自己最速の１５４キロにあと１キロと迫った。

　結果は２回１失点。４安打を許したが、そのうち３本はポテンヒット。右腕の球威を証明する数字だ。初回１死一塁から鳥谷の２球目に１５３キロを記録したのをはじめ、全３３球中７球が１５０キロ台。「火の球ストレート」で知られる阪神・藤川の最速が１４３キロで、その差は１０キロ。ダルビッシュの調整が、いかに早いかがうかがえる。

　ＷＢＣ使用球を完ぺきにものにした。今キャンプでは投内連係など守備練習は１人だけ、ボールを変えて取り組んできた。「面倒とか大変とは思わない。やらなきゃいけないので」すべてはメダルなしに終わった北京五輪の屈辱を晴らすためだ。１月から数え、これまでに１１度のブルペン入り。ストイックに自分を追い込み、この日の圧巻の投球内容につなげた。

家族の存在も大きい。紗栄子夫人と長男が初めてキャンプ地の名護を訪れ、１０日のオフは八木夫妻とともに「沖縄美ら海（ちゅらうみ）水族館」に出かけた。子供を抱きながら、食事も楽しんだという。この試合は、ビジター球場で個別の部屋を確保できない都合から妻子は観戦を見合わせたが、一家の大黒柱はカッコ良かった。

　ネット裏で見守ったＷＢＣ日本代表首脳陣もうならせた。山田投手コーチは「素晴らしい。ほれぼれするボールを投げていた。この時期に１５０キロなら、（本番の）１か月後には１６０キロが出るんじゃない」と舌が滑らかだった。同コーチによれば、３月５日開幕の東京ラウンド（東京Ｄ）の先発投手は内定。ダルビッシュは３戦目を任させることが決定的だ。

　代表合流前の最初で最後の実戦登板を終えた右腕は「思った以上の球が投げられました」と笑顔で振り返った。クイック投法など細かな課題は残るが、それでも「試合で良い練習ができたので」と余裕の表情だ。３月。完全体のダルビッシュが世界の強豪をなで斬りにする。

　◆「１５秒」問題なし
  ８日のシート打撃で「１５秒ルール」を適用されたダルビッシュは、実戦では無難に終えた。新ルールに引っかかった阪神・藤川に触れ「僕は（時間を）巻きでいったので早かったでしょ？」とニヤリ。投球中に「はい、１５秒！」と虎党からヤジも飛んだが「ヤジるのも楽しみの一つでしょうから」と受け流す余裕を見せた。

参照元：スポーツ報知